トヨタが率先して進める水素エネルギの自動車利用/photo by istock
# エネルギー

もう「ムダな研究」とは言わせない…脱炭素社会では「水素エネルギー」が大活躍する

注目すべき4つのポイント

脱炭素を支える基幹産業として、改めて水素ビジネスが脚光を浴びる気配が濃厚になってきた。背景にあるのは、遅ればせながら、菅義偉政権が昨年、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言し、そのロードマップの策定などに着手したことである。

すっかり米国勢や中国勢に後れを取ってしまったDX(デジタル・トランスフォーメーション)主導の第4次産業革命とは違い、カーボンニュートラルの分野では、まだGAFAMやBATのような圧倒的なプラットフォーマーは存在しない。

それだけに、カーボンニュートラルは、日本企業が競争力を獲得してエネルギー面からの第5次産業革命というべき大きな潮流を作り出し、リードすることも十分に可能なフロンティアだ。

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本コラムの2021年の第1回目に当たる今回は、水素ビジネスを巡る最前線の成長政策作りや経営戦略の動向と課題をレポートしてみよう。

なぜ今、水素なのか。冷やかな人からは、例えば、クルマの燃料電池車をあげて、1980年代から注目されていた技術にもかかわらず、ガソリンスタンドに代わる水素ステーションが一向に増えていないといった皮肉が聞こえて来るのは事実だ。

しかし、水素ビジネスには注目すべき点が4つある。

第1は、究極的にH2O(水)を電気分解すれば水素が作れるので、安価で無尽蔵なエネルギーになるはずだという点だ。

水素爆弾の連想から「水素イコール危険」というイメージも根強いが、水素は空気よりも比重が軽くて拡散しやすい。よほど狭い空間に詰め込まない限り、あまり危険はない物質だ。貯蔵するタンクの技術も確立されている。むしろ、適量の空気と混ぜれば燃えやすいという性質は、燃料として扱いやすいというメリットである。これが第2の理由である。

第3の理由は、燃やして出て来るのがCO2(二酸化炭素)ではなくて水という点だ。本当の意味でクリーンなエネルギーと言える。そして、第4の理由が、ここへ来てゼロエミッションを追求し始めた途端、水素の用途の広さが再確認されていることである。