豊田章男社長の「警鐘」…カーボンニュートラルで日本経済は沈没する

誤った政策と穿った報道が招く未来とは
川口 マーン 惠美 プロフィール

メディアに向けて発せられた警鐘

いまさら私が言うまでもないことだが、日本の自動車メーカーは、これまで世界で胸を張れるイノベーションを行なってきた。

本来なら企業がイノヴェーションを進める一番の動機は、利益の向上だ。そのために、消費者が求めているものを的確に把握する。製品価格を下げるために技術革新がなされ、労働効率を上げるために合理化が進む。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

しかし、消費者だって単に安いものだけを買うわけではない。企業に、人助けや環境への貢献があると見れば、それを支持する。

つまり、人々の理想、企業の社会への貢献、そして企業と消費者の利益が良いバランスで結びついてこそ、イノヴェーションは、水が高いところから低いところに流れるように自然に進む。そして、まさにこのように日本のイノベーションは進んできたと思う。

ところが、現在の状況はそれとは程遠い。政治が補助金の蛇口を握って、消費動向や、企業が何を作るかをコントロールしようとしている。そこで無理やり生み出されるイノヴェーションは、需要と供給の自然なバランスの上に立っていない。

言い換えれば、CO2削減に尽力していればさまざまな補助が得られるし、研究費も回ってくる。しかし、そこで作られるものを消費者は必ずしも求めていない。これは、自由主義経済の基本を逸脱していると言える。

豊田氏の警鐘はメディアに向かっても発せられている。そもそも世論というのは、いろいろな意見が報道され、それをサイレントマジョリティーである国民が吟味し、形成していくもののはずだ。

ところが今、日本のメディアは、電動化はEV化だという認識で対立軸を形成して世論を誘導していく、と豊田氏。うがった少数意見が民主主義を盾に大手を振っている現状に、氏は強く抗議していた。

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