豊田章男社長の「警鐘」…カーボンニュートラルで日本経済は沈没する

誤った政策と穿った報道が招く未来とは
川口 マーン 惠美 プロフィール

「電動化」という言葉の定義

豊田氏の発言内容を、私なりにまとめると、次の3つになる。

1)「2050年カーボンニュートラル」が日本にとって何を意味するかということを政治家はわかって言っているのか?
2)メディアは正しい世論が形成されるよう、正しく報道せよ
3)間違った政策は日本経済を破壊する

断っておくが、豊田氏がこの文面の通りに発言したわけではない。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

氏は腹を括っており、記者たちに対して「明日の朝刊で、私のことをどんなに悪く書いてくださっても構わない」とまで言ったが、なんと、テレ東以外の多くのメディアは、私の知る限り、これを無視するか、あるいは、吹けば飛ぶような記事に仕立てた。まさに四面楚歌だ。

世界中が「2050年カーボンニュートラル」一色に染まっている状況下、極めて勇気あるゲリラ的発言で、コメント欄も絶賛だったにもかかわらず、である。

詳しい内容は上記YouTubeビデオを見ていただければ良いが、少し紹介すると、氏はまず、自動車業界も脱炭素社会の実現のため、全力で貢献したいということを述べている。「自動車メーカーは、これまでも常に新しいことにチャレンジしてきたし、これからもしていく」と。まさにその通りだろう。

しかし、氏はそれにもかかわらず、2030年代にガソリン車の新車販売を無くすことが、いかに困難であるかということを、多くの数字を上げて説明する。中でも拘っているのが、「電動化」という言葉の定義。氏は、「電動自動車」にはEV(電気自動車)だけではなく、ハイブリッドも含まなければならないと主張する。

拙著『世界「新」経済戦争』でも触れたが、EUはハイブリッドを「電動車」に含みたくない。彼らは目下のところ、ハイブリッドが利便性とうまく合致する最良の技術だということ、そして、そのハイブリッドで圧倒的に強いのがトヨタであることを百も承知だ。だからこそ、ハイブリッドをどうしてもEU市場から締め出したい。

今でさえトヨタのプリウスは、安心の電動車としてEUで人気だ。特にドイツの自動車メーカーはEV開発で壊滅的に遅れているため、日本のハイブリッド車を非常に恐れている。

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