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豊田章男社長の「警鐘」…カーボンニュートラルで日本経済は沈没する

誤った政策と穿った報道が招く未来とは

豊田章男社長の悲壮感

今、EUはCO2削減に突っ走っている。2050年までのカーボンニュートラル(CO2の排出分と吸収分を±ゼロにすること)の達成が神聖なる目標だ。

すでに、産業も、交通も、建設も、教育も、とにかくすべての活動がCO2削減、もしくは温暖化防止対策と結びつけられており、金融機関でさえ、CO2を多く排出する産業にはお金を貸さない方針に切り替わりつつある。

つまり、現在、EUでは誰もが、「うちはこれだけのグリーン・イノベーションをやっています」ということを示さなければ、お金も回ってこなくなるわけだ。

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ただ、カーボン・ニュートラルはかなり困難な目標で、無理やり進めれば莫大な経済的犠牲を招く可能性が高いが、だからといって昨今、「国民経済を危機に陥れるほど極端なCO2削減をすべきではない」などという意見を口にすることはすでに難しい。

ドイツで難民問題が深刻になり始めた頃、「無制限に難民を受け入れては大変なことになる」という警告を発した人たちが悉く「ナチ」という汚名を着せられたのと同じく、今、グリーン政策に疑問を呈する人たちは、たちまち「環境破壊者」のレッテルを貼られてしまう。ちなみに、その代表選手がトランプ大統領だった。

一方、日本の菅義偉首相はトランプ大統領とは違い、EUに歩調を合わせ、10月の所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル」を目指すと宣言した。しかし、原発もろくに動いていない日本で、本当にそんなことが出来るのか(もっとも、EUだって出来るかどうかはわからないが)。

いずれにしても、その一環として、現在、世界の自動車産業に課されているのが自動車の電動化。フランスは2040年からガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止するとしたし、ノルウェーは2025年、ドイツ、デンマーク、オランダ、スウェーデンなどは2030年、イギリスは2035年まで。そして、日本も2030年という目標を挙げている。

そんな折の12月17日、トヨタ自動車の豊田章男社長の堪忍袋の緒が、ついにぶち切れた。下記リンクは日本自動車工業会主催の記者との懇談会のビデオだが、ぜひ、読者にも見ていただきたい。

https://www.youtube.com/watch?v=6zoznlVU0VU

私はこれを見た途端、これまで持っていた豊田氏のイメージ、何となくアメリカナイズされた軽いイメージは木っ端微塵に吹き飛んだ。その姿には、「憂国の士」といった悲壮感さえ漂っていたのだ。