繊細な美少年がたくましい俳優に
それにしても……と、『天外者』を観ながら、しみじみ思った。
たった10数年の間に、三浦春馬は、なんとまあ、たくましい大人の俳優に変貌を遂げたことよ。
……と。
映画の初主演作は2006年の『キャッチ ア ウェーブ』だ。
撮影時、春馬くんは16歳。まだ声変わりも途中のあどけない少年だった。
初主演の緊張や、心臓の鼓動さえ伝わってくるような、ひたむきな演技。
海の中でお守りのペンダントを握りしめ、「キャッチ ア ウェーブ」とつぶやいていた男の子。
人気の高い『君に届け』は、20歳の時だった。
サラサラの髪に、華奢な輪郭。
少女漫画から抜け出してきたような美少年だった春馬くん。
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でも、『天外者』のスクリーンの中の三浦春馬は、別人のようだった。
あの線の細い美少年とは別人のように、骨太で、力強く、貫禄ある俳優がそこにいた。
ここまでの成長を遂げるために、どれだけの努力を重ねてきたのだろう?
どれだけの覚悟を持って生きてきたのだろう?
20代の最後に撮影された『天外者』は、春馬くんの今までの「集大成」とも言える作品だ。
そして、同時に、新しいステージへの「はじまり」となるはずの作品だったのだと思う。