「海外で仕事をする準備」をしていた

自著の『日本製』のインタビューで、春馬くんは、殺陣に関してこう語っている。
「『時代物をやるかもしれない』という話は少しはあったかもしれませんが、それよりもいつか海外で仕事をすることになった時の準備です。日本人として刀についてや着物の着方、また、それぞれの所作や作法に関してどんな意味合いがあるのか聞かれることがきっとあるはずなので、その時のためにしっかり知識を入れておきたいと思いました」

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私事で申し訳ないが、私も日本の伝統文化が好きで、日舞や茶道、居合いなどを嗜んでいる。
もしもいつか、時代物の作品を書くようなことがあれば、必ずその知識と実体験が役に立つという思いも持っていたので、春馬くんのこの言葉には、大いに共感してしまった。

時代劇を演じる場合、ちゃんとした知識も体験もなく、表面をさらっただけでは、ファッション感覚の真似事にしかならないだろう。
実際、着物を着て刀をふるってはいても、チャラい現代人にしか見えない役者さんも中にはいる。
しかし、日本の文化、伝統に対するリスペクトを持ち、その精神性を理解している春馬くんは、凛として美しい「侍の魂」を、この映画の中で見事に体現してみせてくれた

「海外で活躍したい」と夢見る俳優はたくさんいるが、春馬くんのように、真剣にそのための努力をしている人は少ないかもしれない。
やみくもに海外に憧れるのではなく、彼は、日本人としての「誇り」を持ち、「日本製」の俳優として、世界に出ていこうとしていたのではないだろうか
その夢が実現していれば、「日本人は、こんなにも誇り高く美しい民族なのか」と、海外の人たちを驚かせることになっていたかもしれない。

ミュージカル『キンキーブーツ』のローラ役は、本場ブロードウエイのスタッフにも絶賛されていたことは、ご存知の通りだ。
また、2020年の年末から年明けにかけては、英国の演劇プロデューサー、英国演劇界の実力派スタッフと、日本との共同制作による新作オリジナルミュージカル『The Ilusionist〜イリュージョニスト』の主演も決まっていた。

世界への扉は、すぐそこに開けていたのだ……。

出典/youtube 絶賛の声も寄せられたBWミュージカル「キンキーブーツ」追悼映像Kinky Boots Japan