アルバム『瞬間的シックスセンス』のジャケットより
# あいみょん # 音楽 # エンタメ

あいみょん、その「なつかしさ」と「新しさ」が人々に刺さった「音楽史的理由」

「女性のフォーク」という空白

男性音楽家たちからの影響

あいみょんの曲に「なつかしい」とか「どこかで聞いたことがある」と思う人は決して少なくないだろう。と同時に、彼女の存在にはどこか新鮮な空気、新しいなにかを感じさせるものがある。あいみょんについて考えると、なつかしさと新しさのアンバランスがどうにも気になって仕方がないのだが、おそらくそれは、日本の大衆音楽史において彼女が得た位置と関係している。*1

あいみょんが影響元としてしばしば言及する音楽家はスピッツ、吉田拓郎、小沢健二、浜田省吾、尾崎豊などで、父親からの影響が大きいという。たしかに、これらのミュージシャンに似たフィーリングは、あいみょんの曲の節々から感じられる。*2

また、ひとつ上の世代のバンドからの影響も滲ませる。andymoriへの直接的なオマージュである「夢追いベンガル」(andymoriには「ベンガルトラとウィスキー」という曲がある)はもちろん、「ら、のはなし」の歌の譜割り、「プレゼント」のループするギターフレーズはRADWIMPSに近い感触があるし、シンプルなコードに乗せて性的な事象や社会に対する呪詛を歌う曲(「おっぱい」「朝陽」「from四階の角部屋」など)には、銀杏BOYZやクリープハイプからの残響が響いている。

 

つまり、あいみょんから感じられる過去の音楽は、どれも男性ミュージシャンのものだということだ。同じカテゴリーと考え得る、女性シンガーソングライターの音楽をほとんど連想させない。松任谷由実も中島みゆきも矢野顕子も竹内まりやも椎名林檎も宇多田ヒカルもaikoもYuiも、あいみょんからは聞き取れない。男性のフォークおよびロック系ミュージシャンの系譜を、彼女は受け継いでいる。

こうした、あいみょんの表現のなかに見出される「男性的なイメージ」は、彼女の楽曲に精妙で複雑な質感を与えているし、また他方で、冒頭で述べた「なつかしさ」と「新しさ」というあいみょんの特徴を捉える際の重要なヒントになると筆者は考える。

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