# 離婚

海外リゾートに移住した「年金暮らし夫婦」が、まさか夫からの“”離婚通告”に妻の「ヤバすぎる逆襲」

露木 幸彦 プロフィール

伝えなかった「財産」

ところで現在、定男さんの住民票は海外、妻は日本にあるのですが、住民票と本籍地は別です。定男さんが住民票を日本から海外へ移しても、本籍地は相変わらず日本のままです。もちろん、結婚している間、夫と妻は同じ戸籍に入っているので、どちらも本籍地は同じです。

離婚届は原則、本籍地の役所へ提出します(本籍地以外の役所へ提出する場合は戸籍謄本を添付しなければなりません)。そのため、本籍地の役所へ離婚届を提出したのは妻です。もし夫婦2人で提出する場合、書類に不備がない限り、その場で離婚届は受理されます。しかし、夫婦のどちらか一方が提出する場合、役所はもう片方に対して「相手が持参した離婚届を受理しても良いか」という手紙を送ります。

そして一定期間が経過し、「受理しないで欲しい」という返事がなければ、ようやく離婚届は受理されます。定男さんは「僕がこっちにいても離婚できるのでしょうか?」と不安そうに言いますが、筆者が役所へ電話で確認したところ、海外に住民票を置いている場合、このような場合でも海外の住所へ手紙を送らず、例外的にその場で受理するとのことでした。実際のところ、妻は1人で離婚届を提出しましたが、そのまま受理されたそうです。

 

「あのことさえ知られなければ、あとはいいって思っていました」と定男さんは強がります。

定男さんはバブル期に外資系企業へ転職したのですが、まだ企業年金が存在していた時期。終身で月20万円という内容でした。妻は企業年金の存在を知らず、定男さんも教えなかったので、企業年金を妻に渡さずに済んだのです。

定男さんが失ったのは厚生年金だけ。しかも、定男さんは現地のコテージを売却したり、現地銀行の預金を解約したりしていません。手放したのは日本に残した財産のうち300万円だけです。財産分与の原則は「全財産を折半」なのだから定男さんは有利な条件で離婚できたといえるでしょう。

しかし、定男さんは齢78にしてもう1度、人生プランを再設計せざるを得なくなったのは大きな誤算でしょう。まさか異国の地で1人暮らしを強いられるとは思っていなかったはず。