私は行政書士をしながら男女問題研究家として活動しており、これまで何千件という離婚などの男女トラブルの相談を受けてきます。
最近では、定年後に都会を離れて、田舎や自然豊かな海外に移住する人も増えていますが、そうした方々からの相談も少なくありません。
今回の相談者・長友定男さん(78歳。仮名)もそんな一人。東南アジアに妻(76歳)と2人で移り住み、今年で10年目だったのですが、コロナに襲われて生活が一変。ついには「日本に帰りたい」という妻と折り合いが合わなくなり、離婚を通告する事態にまで発展してしまったのです。
定男さんにこれから待ち受けているのは、離婚条件をどう詰めていくか、です。
相談を受けた筆者は「年金事務所で年金分割の試算を取りましょう」とアドバイスしました。じつは50歳以上の場合、年金事務所で年金の試算(今すぐ離婚したら年金をいくら受給できるのか)を出してもらうことが可能なのです。
夫婦の戸籍謄本、どちらかの年金手帳を持参すると無料で「年金分割のための情報通知書」を発行してくれます。この通知書には全期間の夫と妻の厚生年金の合計額を夫5割、妻5割で按分した場合の試算が書かれています。定男さんの今後の生活を考えれば年金分割の結果、厚生年金がどのくらい減るのかを前もって知っておく必要があります。