雑談がいつの間にか本質的に議論に行きつく

上阪:その結果を出し続けているところがすごいですよね。著者の核心部分にはどのようにして迫っていくのでしょうか。

柿内:僕の場合、雑談しながら考えていくことが多いです。まず、自分がどんな人間かというのを理解してもらうために、自分が面白いと思った直近の出来事なんかを相手にぶつけていくわけです。それをとっかかりに会話を始める。最初は「仕事の話はしなくていいの?」みたいに怪訝な顔をされますが、だんだんお互いの考え方がわかってきて共通言語ができてくるんですよ。本質的なことが共有できるようになると、相手を理解しやすくなります。

 

上阪:まずお互いの感覚を共有し合うところから始めるんですね。でも、それだとすごく時間がかかるのでは。

柿内:そうですね、正直めちゃくちゃかかります(笑)。僕、効率とかぜんぜん考えない人間なんで、とても量産はできないですね。打ち合わせ時間はいつもオーバーするし、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』も『嫌われる勇気』も『漫画 君たちはどう生きるか』も、全部2、3年かかりました。漫画家の羽賀翔一さんとは、ずっと雑談で映画の話ばかりしていて。でもその中で出てきた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の話が、漫画版のコンセプト作りに大きな影響を与えたんですよ。あの映画の主人公のマーティと科学者ドクの関係って、師弟でもないし、友達でもないし、なんだかバディ(相棒)みたいだよねって。そこから、主人公コペル君とおじさんの関係も共に成長し合うバディの関係にするのがいいって、羽賀さんからアイデアが出てきたんです。雑談がいつの間にか、とても本質的な議論に行きつきました。

星海社の新書レーベルを立ち上げる時は、はじめて仕事をするデザイナーさんと感覚を合わせ共通言語を持つために、雑談では済まず、最終的にそのデザイナーさんの隣の部屋を借りて住んでしまったくらいです。

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