お正月の代表的な食べ物のひとつ、「お雑煮」。外食や他所の家で食べることがほとんどないお雑煮は、誰もが、自分の食べているものは一般的なもの、と思いがち。でも実は地域ごと、家庭ごとにその内容は千差万別だと、お雑煮研究家の粕谷さんは言います。

すまし汁なのか味噌汁なのか、丸餅なのか切り餅なのか…実は驚くほどバリエーションがある、あなたの知らないお雑煮の世界、覗いてみませんか?

「普通のお雑煮」はないんです!

お雑煮ほど、みんなの「普通」がてんでバラバラ異なっている料理ってないんです。「どんなお雑煮たべてますか?」と聴き取りをしてみると、大抵皆さんこう答えるんですよ。「ウチは普通に…」「標準的なものですが…」と。私はその言葉を聞くとニヤっとしてしまうんです。

「普通にすまし汁に、かつお菜と大根とブリとカマボコで」
「普通に白みそで、金時人参と里芋と雑煮大根で」
「普通に昆布だしで白みそで、根菜類と豆腐に、あ、あと、きなこかな」

ぶりが入る博多のお雑煮。写真提供/お雑煮やさん
金時人参、里芋、雑煮大根が入った京都のお雑煮。写真提供/お雑煮やさん
昆布だしに白みそ、きなこをかける奈良のお雑煮。写真提供/お雑煮やさん

ね? みんな「普通」だと前置きしながら語ってくれるのに、全然違うんです!

これが「お雑煮ワールド」なのです。みんなの「普通」が並ぶとなんと豊かなバリエーション。ネット社会のイマでも、まだ一般化されていない、標準がない究極のソウルフード、ローカル食文化が色濃く残っている実に魅力的なお料理なのです。

きっとコレは、料理人の文化ではなく、正月というハレの日だけに食べる家庭料理だったからこそ、こんな風に上の世代からゆるやかに伝えられて今に残っているのだと思います。

それでは「お雑煮ワールド」の楽しみ方の基本編をまず押さえちゃいましょう!