『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

2021年は鬼滅「以後」の世界…「鬼滅の刃」の次にブレイクする日本映画に求められるもの

エンタメ界にとって予期せぬ1年 

新型コロナウイルスの影響の感染拡大により、エンターテイメント業界が変革を強いられた今年。東京国際映画祭のプログラミングディレクターを務める矢田部吉彦氏は、「誰も予測していなかったことが起こった1年でした」と振り返る。

矢田部吉彦氏

その代表格と言えるのが、「鬼滅の刃」の社会現象的ブームだろう。12月28日には、アニメーション映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が、公開から73日間で324億円に達し、2001年に公開された「千と千尋の神隠し」の316億円を抜き、国内で上映された映画の歴代1位となった。観客動員数も2400万を超えている。

矢田部氏は、「鬼になった背景を描く点が斬新。『ステイホーム』を強いられた時期に、自分見つめ直した方が多かったのではないか」と作品の魅力を語る一方で、「『コロナ禍』だったからこそ、大きく数字を伸ばせた部分もあるのではないか」と、大ヒットの理由を分析している。

新型コロナウイルスの影響により、「史上最悪だった」(矢田部氏)上半期を経て、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」を筆頭に日本映画は、怒涛の追い上げを見せているが、現状はまだまだ油断ならない。

 

また、コロナ禍は、日本だけではなく、アメリカの映画業界にも深く闇を落とした。

「ハリウッド映画は、軒並み公開延期が続いています。4月に公開される予定だったディズニー映画の『ムーラン』は、延期の末に9月からオンラインで配信されました。今年、映画館で上映されたハリウッド作品は、クリストファー・ノーラン監督の『TENETテネット』くらい。

日本では安定した興行成績を収めていますが、ニューヨークやロサンゼルスといった大都市で映画館の営業停止が続いているアメリカでは、思うように数字を伸ばせていません。ハリウッド映画などに対抗馬が少なかった状況なども、『鬼滅の刃』が快進撃を続けられた理由の一つでははないでしょうか」(矢田部氏)