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タガタメ、【es】…Mr.Children「2020年だからこそ聞くべき10曲」を選出する

本日放送されるNHK紅白歌合戦に実に12年ぶりに登場するMr.Chidren。本稿では、「ミスチルと時代」という切り口からバンドの足跡を振り返る。1992年のメジャーデビューから28年、広く愛され続ける彼らの歌には、その局面局面における時代の空気、そして多くの人々の心をつかむための音楽的手法がパッケージされている。そしてそんな「時代の空気」や「音楽的手法」は、リリースから時間が経った後に、期せずして同時代の状況とシンクロする瞬間がある。

そこで、ここでは彼らのカタログの中から「2020年の世相とリンクする楽曲」という観点で選んだ10曲について、今年の印象的なニュースと並べる形での解説にチャレンジする。「国民的バンド」のキャリアを追体験しながら、2020年を振り返ってみたい。

1. 「innocent world」(1994年)とTikTok

メジャーデビューの翌年のシングル「CROSS ROAD」(1993年)がロングヒットを果たし、その勢いのままにリリースして同年のレコード大賞を獲得したのが、1994年リリースのシングル「innocent world」。耳に残るイントロと流麗なサビのメロディ、それを歌いこなす桜井和寿のハイトーンボイス、<近頃じゃ夕食の 話題でさえ仕事に 汚染(よご)されていて様々な角度から 物事を見ていたら 自分を見失ってた>など「普通の人々」の内面を高解像度で映し出した歌詞…今となってはある種のフォーマットになっている「Jポップのひな形」が、この時点ですでに完成された状態でアウトプットされていたというのは特筆すべき事実である。

 

「innocent world」は「アクエリアス」ブランドのCMソングとしてリリースされたが、「CMソング=ヒットの早道」という方程式が今以上に機能していた1990年代前半において、当時の桜井は「15秒でいかに人の心をつかむか」というテーマを自身のソングライティングの重要なテーマとして設定していた(ストップウォッチで15秒を計測しながら曲を作っていたという逸話もある)。