「1億回」が“ヒットの新基準”、2020年の大ヒット曲とその理由

ヒットチャートに“異変”が起こった
柴 那典 プロフィール

40年前の楽曲が世界でバズっている

そして、今、新たな“現象”を巻き起こしている曲がある。それが松原みき「真夜中のドア/Stay With Me」だ。1979年11月にリリースされた彼女のデビュー曲が、今になって世界各国で異例のバズを記録しているのである。

松原みき「真夜中のドア/Stay With Me」

Spotifyグローバルバイラルチャートでは15日連続1位(12月24日現在)、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、オーストラリア、インド、シンガポール、フィリピンなど各国のバイラルチャートでも1位(12月24日現在)と、40年前の楽曲が世界中で異例の快挙を成し遂げている。

竹内まりや「プラスチック・ラブ」に並び、数年前から世界各国の音楽ファンのあいだで「シティポップ・アンセム」として親しまれてきたこの曲。火をつけたのは、やはりレイニッチだ。

10月30日にこの曲のカバーを配信し、YouTubeにミュージックビデオを公開。それをきっかけに11月から12月にかけてバイラルチャートを上昇し始めた。

 

「真夜中のドア/Stay With Me」の作曲は、数々のシティポップや歌謡曲の名曲を手掛けた作曲家の林哲司。そしてこのカバーバージョンのアレンジを手掛けたのが、やはりevening cinemaの原田夏樹だった。

――レイニッチさんの松原みき「真夜中のドア」カバーのアレンジも手掛けてらっしゃいましたが、こちらの経緯、楽曲制作においての意図と狙いは?

原田:もともと僕らの「summertime」をレイニッチがカバーしてくれていて、物凄く再生数が高かったので彼女のことは知っていました。そんな折に本企画の相談をいただいて即答で「やらせてください」と返事したのを覚えています。こんな巡り合わせってあるんだ……と思いました(笑)。

オリジナルが海外ですでに評価されているというのは、数年前にYouTubeを見て知っていました。そして、そこでコメントを残している海外のリスナーたちは、おそらくVaporwaveなどのジャンルを通してたどり着いたのだろうということも何となくイメージできていたので、音作りはその界隈を意識して行いました。

林哲司さんは最も敬愛する音楽家の1人なのでそれなりに重みもありましたが……原曲の方はグローバルのバイラルチャートで1位を獲得して、その一翼を担ったのが彼女のカバーだった、みたいな記事まで書いていただいて……。こんなプロジェクトに自分が関われたことは誇りに思います。

2021年、ヒットの行方

振り返ってみると、YOASOBIの「夜に駆ける」の“現象”が最初に可視化されたのは、2019年の年末から2020年の年明けにかけてSpotifyの日本のバイラルチャートで1位になったことだった。

そこから考えると、2021年に松原みき「真夜中のドア/Stay With Me」が世界各国でロングヒットを記録する可能性も少なくない。

“異例”なヒットはこの先も生まれていきそうだ。

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