「1億回」が“ヒットの新基準”、2020年の大ヒット曲とその理由

ヒットチャートに“異変”が起こった
柴 那典 プロフィール

「♪君の虜に~」東南アジアで現象化

そして、実はTikTokから海外で興味深い“現象”を起こした曲は他にもある。それがcinnamons × evening cinemaの「summertime」だ。

evening cinema は、ヴォーカル兼コンポーザーの原田夏樹を中心に結成されたバンド。70~80年代のシティポップのセンスをアップデートした音楽性が特徴だ。

彼らがバンドcinnamonsと共に「cinnamons × evening cinema」名義で2017年8月に配信リリースしたのがこの「summertime」。当初からコアな音楽ファンの注目を集めていたが、2019年から2020年にかけて予想を超えた広がりを見せることになる。火がついたきっかけは、日本ではなく、東南アジアだった。

evening cinema
 

2019年末から2020年初頭にかけて、この曲は、ベトナムのSpotifyバイラルチャートで1位、フィリピンで2位を記録。そのきっかけが、「♪君の虜になってしまえばきっと〜」という歌い出しの印象的なフレーズに乗せてダンスを踊る動画が現地のTikTokユーザーに投稿され始めたことだった。

2020年にはいってもその勢いはとどまることなく、同曲は7月にインドネシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの東南アジア4カ国でTikTok使用回数1位を獲得。その後も「#KimiNoToriko」というハッシュタグと共に動画は投稿され続けた。

なかでも注目を集めたのが、インドネシア生まれ、スマトラ島在住のYouTuber、レイニッチによるカバーだ。専門学校でロボット工学を教えながら3年前に趣味としてチャンネルを開設、J-POPやアニソンのカバーを自宅のベッドルームから投稿してきた。

彼女が注目を集めたきっかけは、2020年3月にアメリカの人気ラッパー、ドージャ・キャットの「Say So」(この曲もTikTokのバイラルヒットをきっかけに全米1位を獲得し世界的なメガヒットとなったナンバーだ)を日本語でカバーした動画を公開したこと。

これがドージャ・キャット本人のインスタグラムで紹介され絶賛されるなど注目を浴び、再生回数は1900万回を超える(12月24日現在)スマッシュヒットとなる。

そしてレイニッチは5月に「summertime」のカバーを投稿。無垢でキュートな歌声も評判を集め、こちらも400万回を超える(12月24日現在)再生回数を記録した。

結果、「summertime」は先日発表されたSpotifyの「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」ランキングでも7位にランクインしている。他の楽曲がLiSA「紅蓮華」などアニメ主題歌がほとんどであることを考えると、異例の結果だ。

さらに、そのブームは日本にも逆輸入され、「#君の虜に」は先日開催された「TikTok CREATOR'S LAB. 2020 -REFLECTIONS-」で、「TikTok流行語大賞2020ミュージック部門」を受賞している。

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