「1億回」が“ヒットの新基準”、2020年の大ヒット曲とその理由

ヒットチャートに“異変”が起こった
柴 那典 プロフィール

TikTokから大ヒットが続々!

そして、2020年は、TikTokのバズによって無名のアーティストの楽曲がヒットチャートを駆け上がる現象がたびたび生まれた1年でもあった。

その代表が瑛人の「香水」である。

2019年末の時点で彼の曲を知っているのは、直接面識がある人を除いてはほぼ居なかっただろう。レコード会社にも事務所にも所属せず、ハンバーガー屋のアルバイトをしながらデジタル音楽流通サービスの「TuneCore Japan」を用いてDIYで楽曲を配信していた彼。

たった1年で紅白歌合戦にまで辿り着くきっかけになったのが、TikTokユーザーの投稿だった。昨年末頃から少しずつ弾き語りのカバー動画が投稿されるようになり、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛期間中に急増、著名人のカバーも相次ぎ一気に流行に火がついた。

YOASOBIの「夜に駆ける」に関しても、仕掛け人であるソニー・ミュージックエンタテインメントの屋代陽平氏、山本秀哉氏に筆者が行った取材で、TikTokがヒットに寄与したことが明かされている。

 

TikTokの特徴は、タイアップなどマスメディアの露出や大きな資本を投じたプロモーションとは全く別のところで、偶発的なバズが生まれるということにある。

アーティストのファンの多さや動員力とも関係ない。ユーザーにとっては「友達が投稿した動画」のBGMに用いられた数十秒が、楽曲にふれる最初のきっかけになる。だからこそ、アルゴリズムに後押しされたヒット曲が、誰も知らなかったところから突如生まれることになる。

この潮流は今も続いている。Billboard JAPANの年間ソングチャート100位圏内には、他にもオレンジスパイニクラブ「キンモクセイ」、Tani Yuuki「Myra」、優里「かくれんぼ」、Rin音「snow jam」などTikTokをきっかけに注目を集めたアーティストの楽曲が複数ランクインしている。

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