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ついに完結…結局「ブレグジット」とは何だったのか?

世界に突き付ける問いとは?
"The clock is no longer ticking.(交渉期限はもう迫ってこない)"
バルニエEU首席交渉官

イギリスと欧州連合(EU)の間で難航していた自由貿易協定(FTA)をめぐる交渉が12月24日に合意に達し、2016年6月の国民投票から始まったイギリスのEU離脱をめぐるプロセスはひとまず完結した。

イギリスがEUを完全に離脱して再スタートを切る年明け1月1日が目前に迫る中での滑り込み合意だった。

このFTAは、金融などサービス部門は含まず、当初期待された包括的な内容とはなっていない。それでも、モノの貿易で「関税ゼロ」「割り当てなし」を達成したことで、「合意なき離脱」に伴う大混乱は回避した。

「悪い合意の中ではまし」(マーティン・アイルランド首相)という評価が妥当なところであり、関係者は「ほっと胸をなでおろしている」というのが実情だろう。

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4年半に及んだブレグジット劇場を大きく総括するならば、両者の交渉は、国境管理はどうあるべきかをベースに「国家主権の回復」(イギリス)と「単一市場の完全性維持」(EU)がせめぎ合う場だったように思う。

そのプロセスは、今ある自由貿易をどこまで制限するのかという、国際潮流に逆行する前代未聞のFTA交渉でもあった。

 

コロナ禍の惨状にも煽られ、決裂すれば、相互にダブル・パンチを食らうという状況下で繰り広げられた最終局面での「チキン・レース」。この交渉において、イギリスは「国際法違反」も辞さない姿勢を示すなど、なりふり構わぬ瀬戸際戦術でEUからより多くの譲歩を引き出したと言えるのかもしれない。

その姿勢は、イギリスがジェントルマンの国であったのは遠い昔のことのように思えるほどであった。

それでも、両者が「偶発的な交渉決裂」を回避し、協議を延々と続けて合意に達したことは、世界的に「力の外交」が大手を振るう中で、称賛すべきことではないだろうか。

少なくとも、イギリスとEUはその関係をリセットし、関係緊密化を再構築する土台は築き得たのである。

ブレグジット劇場をこう総括した上で、離脱プロセスの最終章となったFTA交渉を振り返ってみたい。

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