人間の弱いところも隠さず明確にしてくれる

「逃げ恥は、人間の弱いところも隠さず明確にしてくれる作品だと思いました。普段避けて避けて考えないようにしていたり、どうにもならないって無理やり現実を受け入れたりして生きている人がほとんどだから、本当に心のなかで自分が思っていることを代弁してくれてスッキリしたし、そういう捉え方もあるんだなと人生の学びにもなりました。私はまだ10代で人生経験も浅いので、この言葉のおかげでこれからの人生、楽しめそうです」

これは、18歳の女性が「ベストオブ逃げ恥ワード」アンケートに寄せてくれた言葉だ(結果は1月2日に発表)。

2012年から途中2年のお休みを挟んで2020年に「Kiss」での連載が終了となり、2016年の10月から12月に連続ドラマとして放送された『逃げるは恥だが役に立つ』だ。冒頭のコメントでもわかるように、年齢性別を超えて愛されている。そうなのだ!逃げ恥ってそうなのだ!けっこう辛いこともある人生だけど、人生楽しめるかもって思えるよね!と思える作品なのだ。

原作は海野つなみさん。脚本は『アンナチュラル』『MIU404』『獣になれない私たち』『罪の声』など多くの名作を生みだしている野木亜紀子さん。キャストは新垣結衣さん、星野源さん、石田ゆり子さん、古田新太さん、大谷亮平さん、藤井隆さん、成田凌さん等々、豪華としか言えないキャスティングだ。星野源さんによる主題歌の「恋」、として「恋ダンス」ともに社会現象にもなった。そして4年の歳月を経て、いよいよ1月2日には続編のスペシャルドラマが『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル』(TBS系1月2日夜9:00~)が放送となる。

それを記念してお正月スペシャルとして、海野つなみさんの『逃げるは恥だが役に立つ』1巻まるごと無料試し読みをお届けする(1月1日6時から1月7日23時59分まで)。

illustration/海野つなみ

ただの恋愛ドラマではない

主人公の森山みくり(新垣結衣)は25歳、大学院で心理学を学んだものの、就活に全敗。彼氏ナシ、居場所ナシ、仕事ナシの状況の中、退職したばかりの父の元部下で「プロの童貞サラリーマン」36歳の津崎平匡(星野源)の家事代行の仕事を行うことになる。そして、なんと「就職として結婚するのはどうでしょうねえ」と、「契約結婚」することになる。
「愛されたことがない」と自己肯定感がまったくない平匡だが、その誠実さ、優しさにみくりはどんどん惹かれていく。しかし平匡はプロの童貞。自分が恋される対象となるはずがない、傷つきたくないという壁を作り、二人の心は近づいているにもかかわらず全く進展しない……。

そんな「逃げ恥」はただの恋愛ドラマでは決してない。みくりの伯母で美しきキャリアウーマン・百合ちゃん(石田ゆり子)。平匡さんの同僚でイケメンすぎて恋愛や結婚を冷めた目で見ている風見(大谷亮平)、ゲイの沼田さん(古田新太)、子だくさんの日野さん(藤井隆)、みくりの元同級生で夫との関係に悩むやっさん(真野恵里菜)それぞれの考えや人生も丁寧に描かれている。そして「無償労働」「性や年齢の呪縛」「多様な生き方」「孤独」等々、誰もが抱える問題をリアルに伝えてくれたのだ。

その続編となるスペシャルドラマは、原作での10巻と11巻にあたる。紆余曲折を経て気持ちを確認しあい、家事の無償労働問題も解決して「本当に結婚」したあとの話だ。ここでもきっと「夫婦別姓問題」「妊娠・出産問題」「育休問題」など共感度マックスの問題がザクザク出てきそうだが……。

冒頭の18歳の女性の言葉のように、人間の弱いところも隠さず明確にしながら、それを受け入れることができるようになる「これからの人生楽しめそう」な作品として、ドラマと原作と両方がそれぞれの良さをもち、互いに高めあっている「奇跡のエンターテインメント」。2016年のドラマ再放送(2021年1月1日(金)14:30~16:30 1月2日(土)5:40~15:00)とマンガ試し読みとで、さらにスペシャルドラマを楽しみたい。