猫のかゆみも食物アレルギーの可能性がある

当院では現在、皮膚病の猫をお預かりし里親募集をしている。まりもちゃんという名前のその猫は、やってきた当初は毛もボサボサで、全身からフケが出ており、抱っこすると服が抜け毛とフケで白くなるほどだった。自分で自分の足を出血するまでなめるほど強いかゆみがあり、かゆみ止めの薬を飲ませてもあまり効果はなかった。あまりのかゆみの強さから食物アレルギーを疑い、除去食試験を行ったところ非常にうまくいき、現在では毛皮の質も改善、フケも出なくなり、かゆみ止めも飲まずフードのみでコントロールできている

保護された「まりもちゃん」はひどい皮膚疾患をもっていた。今は食事療法でかなり症状は改善。写真/片川優子

また、そのフード以外にも食べられるものを探してあげようと、時々別のフードを与えて食物負荷試験を行っているのだが、その度にかゆみが再燃し、血が出るほどなめてしまうので、食物がかゆみに関与していることは明らかだ。

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ちなみに猫は、現在のところ血液検査で食物アレルギーの有無を調べる事はできない。したがってタンパク源を絞った除去食試験用のフードを与えてみるしかないのだが、大体のキャットフードにはチキンが含まれており、ガラッとタンパク源を変えるために魚だけがタンパク源のフードを与えようとすると、除去食試験に使えるフードはかなり限られる。まずは猫がそのフードを食べてくれるかどうかが大きなポイントになるだろう。

たまたままりもちゃんの場合はうまくフードが「当たった」が、当然魚がアレルゲンの猫もいる。その場合はフードによりかゆみが悪化することもある。

食物アレルギーの場合は、その子に合ったフードさえ見つかれば、フードのみでかゆみを良好に管理できる可能性がある。環境アレルゲンに反応するアトピー性皮膚炎が併発している場合は、フードを変えてもかゆみが残る場合があり、また専用のフードは一般のフードよりは高額だが、毎日副作用がゼロではない薬を与え続けるよりは、よっぽど良いのではないだろうか

冬でもかゆみが続く場合、特に口周りやお尻周りをかゆがったり、1歳未満の頃から耳や足先にかゆみがある場合は、食物アレルギーの可能性をいちど考えてみてほしい。

どうせ治らないとあきらめる前に、可能な方法をぜひ試してみてほしい。photo/iStock

冬のかゆみといっても、ただ単純に乾燥している場合や、食物アレルギーが関与している場合まで様々だ。体質だからとあきらめず、一歩踏み込んだ検査や治療をしてあげることで、大切な家族をずっと続くかゆみから解放してあげられることもある。

とはいえ、残念なことに、「皮膚がかゆい」と話すと抗生剤とかゆみ止めを処方し続ける獣医師もいることは確かだ。近隣の動物病院のホームページを調べ、例えば日本獣医皮膚科学会に属しているなど、皮膚に興味を持ち、きちんと診察してくれる動物病院を探して受診することをお勧めする。 

以前、梅雨時の犬の皮膚トラブルについての記事でも触れたが、「かいちゃダメ」と言っても犬や猫はかゆかったら皮膚を傷つけるまでかきむしってしまう。自分でこまめに体を洗ったり保湿をすることもできない。苦しみを取り除いてあげられるのは、飼い主であるあなただけなのだからー。

片川優子さん連載「ペットと生きるために大切なこと」今までの連載はこちら