冬のかゆみにはほかの原因も。食事の影響も大きい

また、年中続くかゆみに悩まされているものの、アトピーだと言われて諦めてはいないだろうか。

アレルゲンの飛散は春から秋にかけて多く、冬にはほとんどアレルゲンに暴露されない。冬場もかゆみが続く場合、また特に口やお尻の周りのかゆみが強い場合は、食物アレルギーの可能性もある

食物アレルギーは主に白血球の一種であるリンパ球が食物中のタンパク質に過剰反応することで、かゆみなどの皮膚症状や、嘔吐や下痢などの消化器症状となって現れる。冬になっても外耳炎を含む皮膚症状が続く場合は、食事アレルギーの可能性を検討した方が良いだろう。

食事を見直すことで症状が改善することも多い。photo/Getty Images

ちなみにこういった話をオーナーにすると、よく「人間の食べ物をあげているからかゆがるのかしら」と心配される方も多い。だが、ドッグフードやキャットフードの多くは鶏・米・コーンなどを主なタンパク源として作られており、このような一般的なタンパク質によってもアレルギーが起こることがあるので、人間の食べ物を与えているかはあまり関係がない。

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食物アレルギーかどうかを判断するには、『除去食試験』といわれる、摂取するタンパク質の厳密な管理を行うか、リンパ球の反応を血液検査で調べる方法がある

除去食試験とは、簡単に言うとアレルゲンになりうるタンパク源が限られたフードを一定期間食べ続け、その間他のものは一切与えない、というものである。特定のフードを食べることでかゆみが消失したり、軽減した場合は食物アレルギーの可能性が高くなる。その後、かゆみが消失した時点で今まで食べていたフードを数粒与える『食物負荷試験』を行い、かゆみが再燃したら食物アレルギーと確定診断できる。

血液検査では、十数種類の特定のタンパク源に対してリンパ球が反応するかを調べることができる。血液検査だけで確定診断はつかないが、何のタンパク質に対してアレルギーが起こるかある程度予測できるので、除去食試験でどんなタンパク源のフードを選べばよいかの参考になる。また、診断がついた後も、食べられる食材を探す上で参考になる。

ちなみにこの血液検査は、採取した血液の中からリンパ球という細胞だけを集め、それなりの数になるまで一定期間培養し、タンパク質に対する反応を見ると言う時間と手間を必要とする検査だ。

私も大学院時代に実験に必要な細胞を培養していたが、生体からとってきたリンパ球を育てるのは非常に大変なことはよく分かる。その手間と要求される技術の高さから、この検査が一般的に行えるのは日本だけだそうだ。諸外国ではいきなり除去食試験で試しにどれかのフードを食べさせてみるしかない。それゆえ、リンパ球の検査はそれなりに高額だが、そう何度も受け直す必要はないので、年中続く皮膚症状がある場合はどこかのタイミングで検査を受けてみても良いだろう