「保湿剤」で皮膚の状態が改善することも

また、保湿剤を使うことにより、乾燥だけでなく、皮膚病も改善することがある。

以下は、当院で皮膚病の治療を行なっている犬の症例の写真だ。

トイプードルのももちゃんの症例。左が治療前。たった2カ月でここまで毛並みがきれいに改善。写真/片川優子

当院にきた時点で、長く続くかゆみやベタつきから、顎下から腹部にかけて毛が抜け、皮膚は黒く色がつき、分厚くなってしまっていた。かなりかゆみがひどかったので、はじめのうちはかゆみ止めの薬を飲んでもらいつつ、週2回シャンプー療法を行い、脱毛し皮膚が分厚くなった部分に毎日保湿剤『N's drive スキンバリア・ヴィア』を塗ってもらった。

ステロイドなどのかゆみ止めの薬で、かゆみや炎症は止まるものの、抜けた毛を生やしたり、構造異常を起こした皮膚を元に戻すのは難しい。薬で炎症を止めながら、オイルやシャンプーにより皮膚の表面の菌やべとつきを洗い流し、保湿剤をしっかり使っていくことで、驚くほどのスピードで皮膚が柔らかく薄い元の状態に戻り、ふたたび毛も生え始めた。皮膚の状態が落ち着いた後はシャンプーの頻度とかゆみ止めの薬の量は減らし、保湿剤は続けてもらっている

今回使用したスキンバリア・ヴィアには、セラミドの中でも皮膚バリア形成にもっとも重要なアシルセラミドや、皮膚を内側から活性化して皮膚のバリア機能を正常化するナールスゲンが高濃度で配合されている。動物用の保湿剤ではあるが、ヒューマングレードのクオリティで、下手な化粧品よりセラミドもナールスゲンも高濃度で配合されているため、実は私もお風呂上がりに化粧水代わりに使用している。

他の保湿剤では、これほどまでのスピードで皮膚の状態が改善することはなかっただろうと感じている。

保湿剤とひと口で言っても、成分や濃度、使用感にはかなりのばらつきがあるので、すべての保湿剤でうまくいくわけではないが、たかが保湿された保湿。乾燥傾向でかゆみのある犬に対してはしっかりとケアしてあげると良いだろう。

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また、最近では健康な皮膚を作るのに脂肪酸が有効と言われている脂肪酸を豊富に含んだサプリメントやフードもあり、内側からケアをすることも可能だ。どうしても塗るのが難しい場合は、こういったものを利用するのもおすすめだ。動物病院でしか買えないものも多いため、一度取り扱い病院に相談してみるとよいだろう。

ちなみに我が家の猫にも、皮膚によいウェットフードを、2頭に対して毎日1パック与えている。すると少しして、毛皮の質感が明らかに良くなったのが分かった。猫は犬より皮膚のターンオーバーにかかる時間が短く、効果は早ければ2週間ほどで実感できる。猫なら2週間、犬なら1ヶ月、まずは期間を決めて試してみて、効果を実感できたら続ける、というのもありだろう。

保湿やシャンプーなどの外用療法、食事療法、サプリメントなど治療法はいろいろある。相談できる獣医師を探すことも大事だ。写真/片川優子