文在寅大統領は、これまでの政策の失敗と政権幹部による不正を、フェイクニュースと検察・司法機関や言論界に対する圧力によって民意の反発を抑え込んできた。
しかし、今の状況では、文在寅氏に対する支持率が過去最低に低迷している中、検察・司法機関が文在寅氏のいうことを聞かなくなっている。また、言論界も新型コロナをめぐるワクチン確保の遅れなど国民生活に直結する問題で文大統領批判のトーンを強めている。
これまで政権幹部に対する検察の捜査は、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官による検察人事への一方的介入及び頻繁な指揮権発動によって抑え込んできたが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長に対する懲戒・停職の執行停止による秋長官の威信の低下で再度捜査の動きが強まっていくだろう。
そしてそれは政権支持率の一層の低下、政権による捜査妨害の試み、政権への反発の強まりという悪循環の加速につながっていく様相を見せ始めてきた。
これは文政権のレームダック化の本格化に結び付いていく兆候であろう。
文政権は、来年初めにも発足する高位公職者犯罪捜査処によって政権へのダメージを最小限にとどめようとするであろう。しかし、高位公職者の家族に対する捜査は公捜処が担当するのか、検察がするのかなど、あいまいな部分も多い。
文政権がこれまでのように無謀な強圧を行使すれば、政権に対する一層の支持離れと韓国社会の反発を招く結果となりかねない。もはや、これまでの強圧的な行動で国を抑え込むことができなくなってきているのではないか。