マンガ/伊藤理佐 文/FRaU編集部

仕事でも異性とふたりの食事はNGですか

「新婚でありながら、異性とふたりで食事に行くのはありえない!」

ごめん!って言えばいいわけ?『夕食勝手に食べる問題』夫婦はどこまで許し合えるのか」という記事で「ごめん!と言いさえすれば仕事でもないのにパートナーを置いて異性も含めてご飯を食べにいきまくってもいいものかどうか問題」を投げかけた際に、多くの方からこんなコメントが寄せられた。

では、「仕事の場合」はどうだろうか。もちろん、今はコロナで会食そのものが難しいが、パートナーがいる人は、異性と2人で食事をしたら絶対ダメなのだろうか。

そんなことを考えさせられるのが、伊藤理佐さんの名作漫画『おいピータン!!』5巻の「けんちん汁」である。伊藤理佐さんのマンガ『おいピータン!!』は、20年以上続いているオムニバスショート漫画だ。手塚治虫漫画賞短編賞など多くの賞を受賞している名作で、現在は主人公のある事情につき『おいおいピータン!!』と名前を変えて「Kiss」で連載が続いている。描かれているのは、「食」を中心のテーマとしながら、日ごろ我々がモヤモヤしていることや、ドキッとするような事柄ばかり。そうそう、あるある!と思いながら、ムカッとしたことも笑い飛ばすことで、なんだか最後はすっきりすることができるのだ。あまりに人生のあるあるが見事に描かれているので、20年の蓄積の中から厳選し、「おいピータン!!人間学」という連載で無料試し読みの形でご紹介させていただいている次第である。

さて、「仕事だろうがなんだろうが異性とはふたりで食事をしてはならない」となった場合、どうなるのか。例えば、2020年を代表するドラマ『半沢直樹』では、大事なときには二人で食事をしながら仕事の重要な話をするシーンもあった。しかし万が一渡真利が異性だったらあのシーンはなかったのだろうか。今はコロナで会食が難しいということもあるけれど、やはり打ち解けて話すことでいいアイデアが生まれることもあるだろうし、信頼を積み重ねることもできうるとは思うのだ。異性だと「この人とめっちゃ仕事の話したい!!食事して盛り上がりながら打ち合わせしたい!」ということは許されないのだろうか……。

「けんちん汁」では、シリーズの主人公で美味しいものが大好きな、身も心も大きい男性の大森さんと付き合っている渡辺さんが、仕事相手の優秀な年下イケメンライターから食事に誘われる。渡辺さんは誘われて一瞬ドキッとするが、「あ、仕事だもんね」と笑顔で誘いを受ける。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』5巻

常にモテまくっている人は「食事に誘われる=下心」と思うかもしれないが、誘われなれしていない人は「相手が自分を恋の対象として見て食事に誘っているはずはない」「仕事の話をしたいんだな」と思いがちだ。今までモテたことはなかったらしい渡辺さんは完全にそう思ったようだし、そこに共感する人も多いのではないか。

デートの相手とみなされていた…

確かに、「食事をしたい」とまで思う人は、人間として魅力を感じているからだったり、近くなりたいと思っていたりと、なにかと「目的」がある場合がほとんどだ。それが「恋の対象」というわけでなくても、才能を認めていたり、考え方が素敵だなと思ったり、近しくなりたい理由が存在するからだ。だからパートナーの目線からみたら「異性と食事する」ことを嫌だなと思う気持ちもわかる。誤解されないためにも複数で食事するというのはそんな目線への対処でもあるだろう。

それに、自分は仕事だけの話だと思っても、相手が実は違っていることもありうる。

実際、渡辺さんのエピソードでは、びっくり仰天(というのは渡辺さんに失礼かもしれないが)なことに、そのイケメンライターくんは「実はデートのつもりで誘っていた」ことが食事中にわかるのである。

年下の優秀なイケメン。なんと甘い響きなのだろう。そしてその異性が自分を好意的に思っている。その思い出だけでも何杯でも美味しいお酒が飲めそうだ。

では渡辺さんはどうしたのか。
渡辺さんは「デートのつもりですよ」と言われて動揺し、落ち着くために大森さんとのやり取りの爆笑エピソードを思い出す。そしてついつい食事中に思い出し笑いをしてしまう。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』5巻


そして……。

性別がどうであれ、パートナーがいるのに魅力的な異性から誘いを受けた場合、自分がどうするか考えてみてほしい。パートナーの顔を思い浮かべて、自分の気持ちと向き合ったとき、あなたはどうするだろう。

そのとき「意思に揺らぎがない人は、仕事のことや趣味のことなどで話したい理由がある場合、異性との食事もしていい」というルールなどはいかがなものだろうか。