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25人の子供を殺して埋めた「エリート」のおぞましき屈折…西郷山公園事件の全貌

東京都目黒区の閑静な住宅街内にある自然豊かな公園「西郷山公園」。1万549㎡もの面積の広さを誇るこの公園は、テレビドラマ『東京ラブストーリー』などのロケ地としても使用されており、東京名所のひとつとなっている。

公園として整備・開園されたのは1981年(昭和56年)と今から40年ほど前のことで、それまでは「西郷山」の名前が示す通り、元は幕末から明治の武士・政治家の西郷隆盛の実弟である西郷従道(さいごう・じゅうどう)が住んでいた邸宅であった。そんな西郷山で世にも奇怪な猟奇事件が発覚したのは1933年(昭和8年)のことである。

西郷山公園〔PHOTO〕WikimediaCommons
 

「貰い子殺し」とは

1933年(昭和8年)3月10日、警察は東京都本所区(現在の墨田区南部)の簡易旅館に宿泊していた33歳の男性・川俣初太郎を逮捕した。

容疑は殺人および死体遺棄だった。同月1日、東京都深川区(現在の江東区北西部)の空地で生後2か月ほどの男児の絞殺死体が風呂敷に包まれた状態で発見されていたが、この男児を殺害したのが川俣ではないか、というのだ。

川俣は1928年(昭和3年)に「貰い子殺し」の罪で逮捕された過去があり、再び「貰い子殺し」に手を染めた疑惑がもたれていたのである。

貰い子殺しとは、保護者が何らかの事情で育てられなくなってしまった子供を、金銭と引き換えに業者が保護者から預かり、その後育てずに殺害してしまうという犯罪のことである。昭和初期には同様の犯罪が全国で発生し大きな社会問題となっていた。

現に昭和初期の東京で発生していた主な「貰い子殺し事件」には1930年(昭和5年)「七乳児絞殺死体トランク詰め事件」(7人の嬰児の死体が入ったトランクを新宿駅の荷物預り所に預けていた人物が逮捕された事件)、同年の「板橋貰い子殺し事件」(「岩の坂もらい子殺し」とも呼ばれる。板橋区のある地区で、1年間で40人あまりの嬰児が殺されたのではないかという疑惑がもたれた事件)など数多い。