「おっぱいがくっついている私」を、人として認めてほしいだけなんだ。」
「性別は、超えられる」

これは、バービーさん初のエッセイ集『本音の置き場所』と山崎ナオコーラさんの最新小説集『肉体のジェンダーを笑うな』の帯に書かれた文言だ。2020年11月、時を同じくして刊行されたこの2冊は、アプローチこそエッセイと小説で異なるけれど、ともに読み終わると「ジェンダーに縛られる私たち」から、それこそ男性も女性も解放されようと、と感じさせられる。

「そんな二人の化学反応を見たい」と企画されたのが、2020年12月15日に六本木 蔦屋書店で行われたイベント「性別を与えられた私の肉体の本音」だ。初めて会うというふたりのアーカイブなしで行われた貴重なトーク内容から、参加者からのお悩み相談の部分を中心に再構成してお届けする。「名誉長男の夫、どうしたらいい?」「差別的なことをされても怒れない自分が嫌」「ジェンダーとは?」「おっぱいがあり、生理のある自分の身体は好き?」etc……。二人の言葉にハッとする気づきが満載です!

撮影/露木聡子

時代の進歩って素晴らしい

バービー はじめまして。今日はよろしくお願いします。

山崎 はじめまして。よろしくお願いします。さっそくですが『本音の置き場所』拝読しました。素晴らしい本でした。

撮影/露木聡子
山崎ナオコーラ 作家。親。性別非公表。『人のセックスを笑うな』で純文学作家デビュー。今は、1歳と4歳の子どもと暮らしながら東京の田舎で文学活動を行なっている。著書に、育児エッセイ『母ではなくて、親になる』、容姿差別エッセイ『ブスの自信の持ち方』、契約社員小説『「ジューシー」ってなんですか?』、普通の人の小説『反人生』、主夫の時給をテーマにした新感覚経済小説『リボンの男』など。目標は、「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。

バービー 私も山崎さんの『肉体のジェンダーを笑うな』を読ませていただいて、入り込み過ぎて現実がわからなくなっちゃいました。SFといったらアレですけど、非現実に飛ぶ小説で。

撮影/露木聡子
バービー(フォーリンラブ)1984年北海道生まれ。2007年、お笑いコンビ「フォーリンラブ」を結成。男女の恋愛模様をネタにした「イエス、フォーリンラブ!」の決め台詞で人気を得る。現在ではTBSラジオ「週末ノオト」パーソナリティを勤め、TBSひるおびコメンテーターや地元北海道の町おこし等にも尽力。FRaU webにて執筆しているエッセイが書籍化。『本音の置き場所』講談社より11月4日より絶賛発売中。また、バービーのプロデュースで話題を生んだピーチ・ジョンコラボ下着が好評につき第2弾決定!2021年2月発売予定。さらに、昨年末開設したYouTube「バービーちゃんねる」では285万視聴回数を超える動画もあり好評配信中。

山崎 性別で悩んでいる主人公が「時代の進歩で乗り越えられるかも」と思う、未来は明るいよという内容の小説4つを入れました。SFチックと言われればそうですね。

バービー それぞれのタイトルは『父乳の夢』『笑顔と筋肉ロボット』『キラキラPMS(または、波乗り太郎)』『顔が財布』。書く時、題材はどこから決めるんですか? 書き始める時ってどこから書くんですか? まず、いつ書くんですか?

山崎 カフェとかで机に向かって書くことが多いです。バービーさんはスマホで書いているんですか?

バービー そうなんです。人差し指で、ババーッと。

山崎 本音で友達と会話している感がありますよね。スマホ感がある。私は最近、iPadで全部書くようになってきました。すごく便利ですね。

バービー キーボードで?

山崎 iPadとキーボードで。それだとどこでも行けるし、短い時間でも書けるし、キッチンでも書ける。子どもが1歳でちっちゃくて、なかなかがっつりした時間を作れないんです。

バービー 「ここからこの時間は執筆のために使いますよ」じゃなく、「今だ、この隙に書くぞ!」って感じですか?「よし、寝てるぞ!」みたいな。

山崎 そうですね。だから時代の進歩って素晴らしいなと思います。スマホやiPadで書けるって。それこそ生理用品や下着も進歩するから、時代が進めば、これまで性別で感じてきた生きづらさはどんどん解消されるんじゃないかな。私は未来にすごく期待していて、今の時点でもすごくいい時代が来ているなあって思うんですよね。

バービー ジェンダーを越えて生きているこの小説のなかの人たちのようになるために、技術や医療に期待しているということですか?

山崎 一番はたぶんSNSの力ですね。今、皆が小さな違和感を表明するようになって、それで繋がったり。ものすごい勢いで意見を言いやすい空間が作られていて、私にとっては生きやすい時代が来たなという気がしています。