# マヂカルラブリー # M-1 # エンタメ

M-1グランプリ、午後8時40分に起きた「革命」に気づいていますか?

そのとき、もう引き返せなくなった
堀井 憲一郎 プロフィール

そのあとまだ最終ラウンドがある。

長丁場ではあるが、でも、毎年のことである。

 

「もう決まったんじゃないか」

これまで、時刻を気にしたことはなかった。

ただ、今年はすごく明確に、長いな、とおもった。

おもったのは、私は「アキナ」の漫才のときである。

彼らが終わって、あ、まだ8番めなのか、あと2組あるのか、とおもってしまった。

出演者に対する予断は持っていない。誰が期待できるのかという予想はいっさいしていない。だから毎年は、10組目が出るまで楽しみに見ているのだが、今年は、もう決まってしまったんじゃないか、という気分になっていた。あるとしても3位の入れ替えくらいで、そうなると「見取り図」が最終に出られなくなるわけで、それはいやだなあ、とおもっていたくらいだ。

境い目は「マヂカルラブリー」と「オズワルド」のあいだにあった。

午後8時35分あたりで潮目が変わり、誰も空気を戻せなくなった。

「見取り図」から不思議な盛り上がりを見せ、「おいでやすこが」から「マヂカルラブリー」の流れによって、会場の空気は、かなり変なところへ入ってしまった。本来なら邪道と判断されそうな2組が高得点をあげてしまい、つまりそれでほぼ「詰んだ」のである。

それは「オズワルド」が出てきたときに気がついた。

「オズワルド」はきちんとした漫才である。

静かに始まり、喋りのすれ違いで笑いを作っていく。テンションで笑わせる芸ではない。

前の3組は、ほぼ、テンションを上げ、それに同調させて、笑いにもっていく漫才だった。

そしてその世界を「是」としてしまったわれわれは、もう、「オズワルド」が示してくれた昔ながらの道を歩けなくなった。

昭和の漫才師であるオール巨人と上沼恵美子がいてもそうなったのだから、もう、誰にも止めようがない。

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