「女性の犯罪や自殺は生理のときに多い」「女性は生理のときに放火や万引きをする」といった話を聞いたことがあるだろうか。
今日では俗説として一蹴されるであろうが、かつてはまともに信じられており、犯罪捜査や司法精神鑑定に"活かされて"いた。
1970年代に、殺人事件の容疑者を「月経」によってあぶり出し、冤罪を生んだこともあった。
精神鑑定において月経が重視されていた例として、大正から昭和にかけて司法精神鑑定にあたっていた菊地甚一による鑑定事例を紹介したい。
菊地は、女性被疑者には必ず月経についての質問(初経年齢、これまで月経が順調であったかどうか、月経痛の有無、月経前後の気分など)を行っている。
傷害で起訴された女性には、「月経中…………(引用者注・伏せ字)月経が長びいたり、余計に気持ちが悪い事が起こったりする事が当然であることを知っていたか」と尋ねている。