意外な事実
コロナ禍で、リアルイベントの開催が危ぶまれるようになって久しい。
オリンピックをはじめとするスポーツイベントはもちろん、演劇や音楽等の観客を入れてのリアルイベントの多くが、中止もしくは延期に追い込まれてきたことは周知のとおりだ。そのような状況下で、オンラインでのイベント開催を模索する動きが広がっている。
すべてのイベントをオンラインで代替できるようになったわけではないが、アーティストは「オンラインライブ」を積極展開する方向に舵を切っている。年末恒例の「クリスマスライブ」や「年越しライブ」も、オンラインで開催された、あるいはこれから開催される例が増えてきている。
オンラインライブの現状とは、どのようなものなのか?
オンライン配信の「裏方」を務める、配信事業者に現状を聞いた。そこから見えてきたのは、ある"意外な事実"だ。
サザンが変えた!
話を聞いたのは、U-NEXT 編成事業本部 音楽・ライブ部長の香山真吾さんと、同CTO R&D本部長のリー・ルートン(Rutong Li)さんだ。

音楽ライブをネット配信する動きそのものは、コロナ以前から存在した。だが、ライブのネット配信は従来、あくまで補助的な位置づけで、決して重視されてきたわけではない。ライブとは文字どおり、「ライブで、その場に行って見るもの」だったからだ。
U-NEXTは映像配信事業者であり、映画やドラマと同様、音楽ライブの配信も手がけてきた。しかし、コロナ禍以前はあくまで、「収録されたものをいくらか流す程度」であり、コンテンツとして重要視されていたわけではなかった。
香山さんは「新型コロナウイルスの影響でライブの中止などが避けられない状況になってすぐに、アーティストサイドからの問い合わせが増え、本格的に手がけることになった」と話す。初期には見放題のコンテンツとして配信していただけだったが、通常のライブやコンサートと同じように、1つのイベントごとにチケットを買って視聴してもらうスタイルが増えていく。
消費者にとってもアーティストにとっても、ライブ配信の見方を変える大きなきっかけとなったのが、6月にサザンオールスターズが横浜アリーナで開催した、デビュー42周年ライブの配信だった。サザンのライブは、配信した全事業者の累計で約50万人が視聴したといわれている。