菅義偉内閣発足から3か月、菅首相は連日分刻みで驚くべき数の人間との面会をこなしている。
しかしそんななか、ある人物との面会の時間が、目に見えて減っているのだという。その人物とは、首相官邸のリスクマネージメントのキーマンである沖田芳樹内閣危機管理監である。
危機管理のトップを一国の首相が遠ざけるというこの状況こそが、菅官邸、ひいては日本政府の問題点を明確に示している――そう関係者は話すが、いったいどういうことだろう。事情は、新型コロナウイルス対策における「縦割り行政」の問題、さらには「デジタル庁」創設の問題などと密接に関わっており、日本政府の危機管理の脆弱さを示しているというのである。
まずはコロナ対策における危機管理の問題について見てみよう。
危機管理監は、テロ・北朝鮮ミサイルから大規模自然災害まで、様々な危機に対応する「何でも屋」(官邸スタッフ)である。感染症の蔓延によって危機的状況が訪れる「パンデミック」に対しても沖田氏ら危機管理の専門家は、2009年の新型インフルエンザへの対応の反省から、以後研究を重ねていた。
しかし、安倍晋三前内閣のときからすでに、新型コロナウイルス対策の事実上の政府の最高意思決定機関であった、官邸・各省庁のトップによる“御前会議”(同官邸スタッフ)からも沖田氏は早々に外されていた。