系外惑星の大陸の形まではっきり見える!NASAの太陽重力レンズ計画がすごい

ただの夢物語ではありません
熊谷 玲美 プロフィール

実現可能性はどれくらいあるのか…

とてつもなく壮大な計画だが、ただの夢物語ではない。トゥリシェフ氏らのこのアイデアは、2017年にNASAのNIAC(NASA革新的先端概念)プログラムに選ばれ、技術的な実現可能性を検討する研究がおこなわれている※6

この太陽重力レンズ計画は、2020年にはNIACプログラムの最終段階である第3フェーズまで進んだ※7。NIACの第1フェーズには、2012年から毎年15件前後が選ばれているが、第3フェーズまで進んだのは、この太陽重力レンズ計画を含めて3件だけだ※8。 

太陽系の外にある地球型惑星は、間接的な方法でしか観測されていない。それを直接観測しようとするなら、通常の望遠鏡よりも、太陽重力レンズを使ったほうがずっと早く実現できるという。

トゥリシェフ氏はUniverse Todayに対して、「100光年先にある地球を1ピクセルの大きさで観測しようとしたら、直径90メートルの望遠鏡が必要になる」と語っている※9

現在チリで建造中の欧州超大型望遠鏡(ELT)は、直径39メートル。このままいけば、今生きている人が死ぬまでの間に地球型系外惑星の直接観測が実現することはないだろうと、トゥリシェフ氏は考えている。

太陽重力レンズ観測も簡単ではない。ただ、2020年代に探査機を打上げ、40年ほどかけて太陽重力レンズの焦点領域まで飛行すれば、21世紀後半には観測を開始できるという見積もりもある※10。 

このどこかSFめいたところのあるアイデアだが、個人的におもしろいと思うのは、その源流に相対性理論があることだ。20世紀初めに相対性理論が発表されたときに、それが第二の地球探しに結びつくと考えた人はいなかっただろう。

同じように、現在進められている研究が100年後に何に結びつくかは、だれにもわからない。すぐに役に立つかどうかばかりを考えて、未来をせばめてはいけないような気がする。

【参考資料】
※1 https://www.nasa.gov/directorates/spacetech/niac/2020_Phase_I_Phase_II/Direct_Multipixel_Imaging_and_Spectroscopy_of_an_Exoplanet/
※2 V. T. Toth and S. G. Turyshev (2020), https://arxiv.org/pdf/2012.05477.pdf
※3 https://alma-telescope.jp/news/press/quasar-202003
※4 https://www.nasa.gov/feature/goddard/2020/hubble-observations-suggest-a-missing-ingredient-in-dark-matter-theories
※5 https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2019/6605/
※6 https://www.nasa.gov/directorates/spacetech/niac/2017_Phase_I_Phase_II/Solar_Gravity_Lens_Mission/
※7 https://www.nasa.gov/press-release/nasa-selects-early-stage-technology-concepts-for-new-continued-study
※8 https://www.nasa.gov/directorates/spacetech/niac/NIAC_funded_studies.html
※9 https://www.universetoday.com/149214/if-we-used-the-sun-as-a-gravitational-lens-telescope-this-is-what-a-planet-at-proxima-centauri-would-look-like/#more-149214
※10 https://www.hou.usra.edu/meetings/V2050/pdf/8203.pdf

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