系外惑星の大陸の形まではっきり見える!NASAの太陽重力レンズ計画がすごい

ただの夢物語ではありません
熊谷 玲美 プロフィール

重力レンズ望遠鏡

重力レンズは1979年に初めて観測されて以来、遠方の天体を観測するための重要なツールになっている。最近では、チリのアルマ望遠鏡と重力レンズの組み合わせで、100億光年先にあるクエーサーの観測がおこなわれた※3

重力レンズのイメージ。Credit: NASA

さらに重力レンズは暗黒物質の研究にも貢献している。光の曲がり方から、重力レンズを起こしている銀河の質量がわかるので、電磁波では見えない暗黒物質の存在を間接的に調べられるのだ※4。 

実は系外惑星の探索にも、重力レンズがすでに使われている。地球から恒星同士が重なって見えるときに、惑星があれば重力レンズの効果に影響が現れるのだ。これまでに数十個の系外惑星がこの方法で見つかっている※5。 

トゥリシェフ氏らのアイデアには、こうした今までの重力レンズを使った天体観測と大きく違っているところがある。それは、天体同士が偶然重なってみえるのを待つかわりに、観測したい系外惑星と太陽が重なってみえる宇宙空間に望遠鏡を運ぶことだ。

焦点の位置は太陽から852億km

虫めがねなどのレンズと同じで、重力レンズにも光が集まる焦点がある。焦点までの距離は、重力レンズを生じさせる天体の質量で決まる。太陽の場合は、太陽と地球の距離(1天文単位)の約550倍にあたる、825億kmの距離にある。

これは、探査機の中で太陽から最も遠く離れ、すでに太陽系の外に出ているボイジャー1号の現在位置(150天文単位)よりもはるかに遠い。トゥリシェフ氏らはその位置に、太陽光の圧力を受けて進む「ソーラーセイル」(太陽帆)を使った小型探査機を複数送り込むことを考えている。

太陽重力レンズによる系外惑星の観測。Credit: V. T. Toth and S. G. Turyshev (2020)

焦点から太陽方向を見ると、太陽と重なっている系外惑星からの光が曲げられて、太陽の周りにアインシュタインリングができる。探査機を移動させると、惑星表面の別の部分からの光が届き、それに合わせてアインシュタインリングの明るさも変化する。そうして1年ほどかけて集めたデータから、惑星全体の像を復元できるという。

太陽重力レンズ望遠鏡の説明(英語)

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