福岡・糸島で活動を始めて、今年で11年目。生産者と積極的に触れ合い、絆を深めながら、活動範囲を広げてきた料理家・広沢京子さんが、久留米、八女へ小さな旅に出かけました。人に触れモノに触れ、見えてきたものは?

>最初から読む!

●情報は、2020年2月現在のものです。

歴史に裏打ちされた
八女の玉露の真髄に触れる。

風情ある〈許斐本家〉の佇まい。元禄の頃は、このあたりは庄屋が集まって住んでいたという。その庄屋たちが地域興しのため、商家になったんだとか。建物は江戸末期のもの。/許斐本家(このみ園) 福岡県八女市本町126 ☎0120-72-0201

さて、八女といえば、お茶。八女は極上の玉露の産地として知られるが、そもそもは、1423年、明から帰国した僧・周瑞が、霊巌寺を建立し、お茶の栽培を伝えたのが始まりとか。そして、八女茶の発展に寄与したのが、何と、長崎・グラバー邸の主であった英国人トーマス・ブレーク・グラバーだったという。貿易商社を設立し、最初にアメリカに輸出したのがこの八女茶だったそう。

〈許斐本家〉で、八女茶のお勉強。お茶はほんとうにピンキリ。

そんなプチ予習をしつつ、広沢さん、八女でも老舗中の老舗茶舗〈許斐本家(このみ園)〉で、お茶を求めることに。国選定重要伝統的建造物群保存地区の町並みに建つ、いかにも老舗らしい店構え。江戸末期の建物だという。さて、何にしようかなと眺めていると、「一服どうぞ」と、玉露が登場。最初の一口の甘いこと。それから、どんどん上品な旨みが広がり、遠くで渋みも感じられる。これは、別次元のおいしさだ。

玉露は、少し多めの茶葉(10g)にお湯を50~60℃に冷ましてから急須に注ぎ、3分位おいて茶碗に。「最後の1滴まで絞りきるのがポイント」とのこと。

店主・十四代目の許斐健一さんが奥へと案内してくれる。「わが家の歴史は古く、戦国時代にこの地に移り、お茶の歴史とともに歩んできました。実は、『八女茶』という名も、明治期に日本茶輸出が衰退したため、地域茶業の巻き返しを図ろうと九代目が付けたものです」。

店の奥には現在も稼働している工場があるのだが、その手前に大きな杉の木でできた製茶用の乾燥炉「焙炉」が置かれている。「八女和紙を貼ってるんですけど、下に炭火を入れて、遠赤外線で、蒸した茶葉を乾燥させながら、丁寧に焙じていきます」。

焙炉の仕組みを説明してくれる〈許斐本家〉十四代目の許斐健一さん。「ここに炭を入れます」。和紙を貼った蓋をかぶせれば準備OK。

この焙炉って、現在も使っているんですか。「もちろん、現役です。この伝統製法で焙煎したお茶が、焙炉式玉露です。こうすることで、先程、飲んでいただいたような、香りがまろやかで、渋みが少なく、甘みと旨みが濃厚なお茶になるんです」

クラシカルなパッケージが魅力の〈許斐本家〉の焙炉式蔵出茶80g¥1000。

実際に焙炉を見ちゃった広沢さん、「せっかくだから、焙炉式の玉露をいただきたい」と、購入。このパッケージがまたいい。「ヘリテージ・デザインと名付けているのですが、うちが大切に保存してきた伝統的なデザインの要素をモチーフにして、モダンに仕上げたものです」

八女茶の抹茶焼きショコラ12個入り¥1080。何と、〈コロンバン〉とのコラボ商品。柔らかな口どけのチョコにライスパフを混ぜ込んだ、ふわふわ食感。

ちょっと気になるのがスイーツ。こちらも、クラシックなデザインのパッケージである。八女焙炉式玉露クランチチョコや八女焙炉式玉露飴、八女抹茶キャラメル半生仕立て……などなど、ちょっとしたおみやげによさそうだ。

おや、広沢さん、お茶もスイーツもたっぷり買いましたね。「今度仕事で東京に行くので、友達にプレゼントします!」