2020.12.26
# ライフ

想像以上に搾取される保育士たち…良い保育園と悪い保育園の「決定的な差」

データから見えてくる「重要ポイント」
小林 美希 プロフィール

委託費が不正使用されることも…

また、東京都の「保育士等キャリアアップ補助金の賃金改善実績報告等に係る集計結果」(2017年2月)では同じ条件で社会福祉法人と株式会社の支出状況を比べている(図)。

人件費比率は社会福祉法人が62.3%、株式会社が55.6%となっている。この差が出るのは、株式会社の保育園は園舎の賃料の費用がかさんでいることが分かる。賃料に一定の固定費がかかる以上、その分は人件費から流用するしかない。預ける側、働く側からすれば、委託費がどこに流れていくかは重要なポイントだ。

 

事業者の利益追求体質が顕著となる今、保育士の人件費だけでなく、子どもの給食費、玩具代、トイレットペーパーなど衛生品にまで手を付け始めている。

保育現場から「給食があまりにまずくて食べられない」、「クラスに1セットのブロックもなく、絵本も園に数冊しかない」、「トイレットペーパーすら満足に買えず、現場が自腹を切っている」との悲痛な声が聞こえる。

これも、財務情報から状況が把握できる。「事業活動による収支」の給食費支出、保育材料費支出を見てみたい。

国が想定している給食材料費は、園児一人当たり月7500円となる。内閣府によれば保育材料費は、2020年度で3歳児未満が同2978円、3歳児以上で同1809円となる。

経営主体が株式会社か学校法人かで費用計上が異なる場合もあるが、保育園の在籍園児数と比べて極端に少なければ園に理由を問い合わせるべきだ。あくまで委託費の原資は税金と保護者が払う保育料であり、本来ここに「企業秘密」があってはならないと筆者は考える。

現場の保育士が懸命に子どもの成長を助けているなかで、保育士は薄給、子どものための費用までコストカットして経営陣が不適切に委託費を使っている現実もある。これは、東京都が公開する監査結果からうかがえる。

ここには、東京都が監査に入った保育園が受けた法令違反について文書で指摘された事項が直近3年分、掲載されている。保育士の配置基準違反はもちろん、委託費の不適正な支出があればその旨が掲載される。どのような違反があったのかは、情報公開開示請求をすると詳細が分かる仕組みとなっている。

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