2020.12.26
# ライフ

想像以上に搾取される保育士たち…良い保育園と悪い保育園の「決定的な差」

データから見えてくる「重要ポイント」
小林 美希 プロフィール

想定と実際の支給金額の差

想定と実際の支給金額の差が何なのか。若手が多い、配置基準以上に保育士を雇って働きやすくしているという正当な理由がない場合、事業者に聞く必要があるだろう。

人件費が十分にかけられていない場合、理由のひとつには事業の拡大のために保育士の人件費分が消えていることが挙げられる。公表されている財務情報のPDFの2枚目にある、「その他の活動による収支」の欄を見てみたい。

 

「積立資産」は、人件費、修繕などを目的にしており、年間に数十万円から数百万円の積み立てがあってもおかしくはない。

しかし、積み立ては一定のルールのもとで「目的外使用」でき、施設整備に使うこともできる。年間2000万~3000万円もの積み立てをしている場合、いったんは積み立てるが、新たな保育園を作るために使われていることもある。

そして重要なのが「事業区分間・拠点区分間・サービス区分間」の繰入金の収支だ。これは、A保育園や姉妹園、本部を「拠点」とした資金移動を示している。

収入は、他園や本部からの収入で、支出はA園から他園や本部へ移動した委託費の金額となる。例えば、本部で人事総務を行っているから本部経費がA園から支出されるとか、系列園で一時的に委託費が足りなくなって貸した、施設整備のために支出した、というもの。

積み立てと同様、この金額が数千万円に及ぶと、適切かどうかを考えなくてはならない。多額の本部経費を計上して、役員報酬が著しく高額であるケースがあるからだ。

内閣府の2019年度の調査では、定員が約100人の認可保育園の「法人本部帰属費」は69万8000円だった。財務情報1枚目の「業務委託費支出」も注意が必要だ。現場の園長らは「給食調理は年間で数百万円程度、リトミックなど講師費用も計上されるが一人月2~3万円が常識的」だとしており、業務委託費が1000万~2000万円など多額になると、その使途を詳しく尋ねたほうが良さそうだ。

関連記事