2020.12.26
# ライフ

想像以上に搾取される保育士たち…良い保育園と悪い保育園の「決定的な差」

データから見えてくる「重要ポイント」
小林 美希 プロフィール

賃金を高く見せようとすることも…

そこで、いったい、その保育園の職員がどれだけ給与を得ているのかが分かるのが、「モデル賃金」のPDF資料となる。

ここには、各園のモデル賃金に加えて、保育園内の職員1人当たり賃金月額(賞与含む)が掲載されている。

保育従事者(保育士や保育補助)の常勤職員と非常勤、保育従事者以外(園長や用務員、調理員等)の3つで、この数字の12ヵ月分が、年間の賃金となる。

 

モデル賃金はあくまでモデルのため、高く見せようとしているケースも混在している。それを見抜くには、「財務情報」にある保育士の実際の平均経験年数とモデル賃金を見比べることが必要だ。

たとえ経験20年で主任クラスになり給与が月50万円出るとしても、実際には2~3年で離職し保育士が入れ替わっている場合、平均経験年数が常に2~3年程度ということもあり、月給50万円は絵に描いた餅である。

国を挙げての処遇改善(最大で月4万円)と、都の独自補助(月4万4000円)もあるにも関わらず、都内の園では常勤職員の月額賃金が30万円程度(年間360万円)でしかないケースが目立つ。園内が新卒など若手ばかりではあり得る金額だが、平均経験年数が高ければ賃金が不当に抑えられている可能性が出てくる。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2019年)を見ると、東京都の保育士の平均年間賃金は410万円、平均勤続年数は6.3年となっている。

国は、毎年度、公定価格の基本分単価での保育士の年間賃金の全国平均の額を通知で示しているからだ。保育士の配置基準通りの人員体制が前提だが、2018年度で約388万円、2019年度で約393万円、2020年度で約395万円と年々増額している(「私立保育所の運営に要する費用について」)。

これに処遇改善加算がついていく。2020年度で機械的に計算すると、全職員につく処遇改善加算(1)を加えると約417万円、経験3年以上で月5000円の処遇改善加算(2)がつくと約423万円、経験7年以上で月4万円の処遇改善加算(2)がつくと約465万円。そこに都独自の処遇改善が加われば、経験7年以上で約513万円になる。

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