元ラグビー日本代表メンタルコーチが提案する「組織を変革に導くリーダーシップ」

荒木 香織

日本人が本来持っている美点は貴重

では、どうすればいいのでしょうか?

スポーツのチーム(組織)作りはビジネスの現場に通じるものがありますが、組織を変えるためには、「適切なリーダーシップ」が不可欠です。トップダウンで指示だけするのではなく適切なリーダーシップを持った指導者が、選手が考えながらプロセスを歩めるような働きかけをするチームはみるみる成長し、結果を出します。

 

その反対に、リーダーシップを学ばないリーダーが「自分で考えろ」とお決まりのセリフを言うだけでは、思考力に伸びしろがあるはずの選手を成長させることはできません。これは企業でも同様で、「今どきの若いやつは」などとよく言われますが、その若者を作り上げているのは日本の社会であり、環境なのです。

そこを変えることができれば、日本はまだまだ成長していけるでしょう。

私は8年住んだ米国を皮切りに、スポーツ心理学を22年学んできました。米国や欧州と比較すると、残念ながら日本ではリーダー(指導者)が適切なリーダーシップを発揮するための環境や取り組みが十分ではないと言わざるを得ません。この違いは、ビジネスの現場でも同様です。

しかし、勤勉さや粘り強さ、公正性といった、日本の人たちが本来持っている力も貴重です。目上の人に対する感謝、そして戦後の復興や地震に台風などの自然災害を乗り越えてきたレジリエンスは、引き継ぐ者にとって大きな宝です。過去の積み重ねがあるからこそ、今があることを忘れてはいけません。

根性論や精神論はネガティブに捉えられがちですが、積み重ねる力や取り入れる素直さが私たち日本人にあるからこそ、ものづくりや開発分野で成し遂げられたものがあることは確かでしょう。

関連記事