元ラグビー日本代表メンタルコーチが提案する「組織を変革に導くリーダーシップ」

荒木 香織

リーダーたちは、なぜ自信喪失してしまったのか

彼らが成長を遂げた4年の間。そんな思いを胸に、私は以前と変わらず、ビジネスや教育、スポーツなどの現場でメンタルトレーニングやコンサルティング、組織マネジメントなどの仕事を続けていました。そこで痛切に感じたのは、組織におけるリーダーシップの欠如です。

 

多くのリーダーや指導者が、組織力を生み出すことや、フォロワー(部下やチームメンバーなど)のモチベーションに適切に働きかけることに自信を持てずにいます。その傾向は30、40代のリーダーや指導者に、顕著にみられます。

なぜ、こんなにいき詰まったり、自信を喪失してしまったりするのでしょうか。適切なリーダーシップのもとで成長できていればこんなことにはならないのに……と歯がゆい気持ちになることも多々ありました。フォロワーのモチベーションにうまく働きかけられず、組織力が向上しなければ、当然、生産性も上がりません。

こんなデータがあります。公益財団法人日本生産性本部がまとめた2017年における日本の労働生産性(時間あたり)は47・5ドル。主要先進7ヵ国で最下位でした。その上、過去20年で日本の賃金は1割以上、下落しています。先進7ヵ国の米国やドイツで1割以上、上昇している中でこの低成長ぶりは深刻です。

ここで言えるのは、労働人口が多く労働時間が長い日本では、生産性が伸びなければ賃金は上がらないということです。一般的に生産性が高くなればなるほど労働時間は短くなる傾向がありますが、長時間残業が横行する限り、生産性は上がりません。そしてそのことは、労働者にとって、健康面や心理面などあらゆる面に悪影響を及ぼします。

それだけではありません。パーソル総合研究所がアジア太平洋地域(APAC)の14の国・地域で行った「APAC就業実態・成長意識調査(2019)」によると、日本はリーダー(管理職)になりたいと思う人の割合や出世意欲が最下位であるばかりか、勤務先への満足度も最下位、自己研鑽の意欲も最下位でした。

このような状態では、もう「働き方改革」で制度を変えるだけでは不十分でしょう。旧来の日本型組織を変えていく必要があります。

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