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宇宙の全歴史を365日にたとえると「人類誕生」は大晦日の11時…は大間違い!

3分で読める宇宙誕生から終焉まで
138億年の宇宙の歴史を365日に置き換えると、現生人類が誕生したのは大晦日の午後11時52分にあたるそうです。

しかし、「ビッグバンから138億年後という現在は、宇宙の歴史において何らかの到達点でも、節目の年でもない」と吉田伸夫さんはいいます。

宇宙が真の終焉に達するのは「10の100乗年」後であり、「ビッグバンから138億年しか経っていない現在は大晦日どころか、元日の午前0時0分0.000…004秒頃(「…」では0が77個ほど省略されています)だというのです。

誕生から真の終焉までの「宇宙全史」はいったいどのようなもになるのでしょうか? ベストセラー『宇宙に「終わり」はあるのか』より、「10の100乗年」をぎゅっと圧縮した名解説「2ページで語る宇宙全史」を完全公開いたします。

3分で読める宇宙「10の100乗年」全史

はじめに、完全な虚無の世界であるマザーユニバースが存在した。マザーユニバースは物質も光もなく、内部に蓄えられた暗黒エネルギーによって、ひたすら加速しながら膨張するだけの世界だった。

ところが、今から138億年前にマザーユニバースの一部が変化し、暗黒エネルギーが解放されて他の場に供給された。この結果、場は熱水のように沸き立ち、高温のビッグバン状態となる。これが、われわれの宇宙が誕生した瞬間である。

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エネルギーを獲得した場は、素粒子を生み出す。当初は混沌としていた素粒子は、宇宙空間が膨張してエネルギー密度が低下し、熱運動によって拡散しようとする傾向が弱まると、凝集し始める。

まず、クォークやグルーオンといった素粒子が集まって陽子・中性子が形作られる。多くの素粒子はエネルギー密度が低下するにつれて姿を消すが、陽子と電子は素粒子反応の特性によって消えずに残る。こうして、宇宙空間は、陽子・電子・光子が飛び交うスープ状になる。

空間膨張が進むにつれて、物質が次々と形成される。ビッグバンから10分間ほどの間に、重水素やヘリウムなどの原子核が合成される。さらに、数十万年が経過すると、電気的な引力で原子が形成され、電子のやり取りによる化学反応も始まる。

また、ビッグバンの時点でごくわずかに存在した密度の揺らぎは、重力による物質の凝集を引き起こす。フィラメント状に凝集した暗黒物質に引っ張られて通常の物質も凝集、宇宙暦数千万年頃には最初の星が生まれる。

凝集が最も活発になるのは、宇宙暦数億年から百数十億年の時期である。物質は渦を巻きながら凝集することが多く、渦巻銀河や原始惑星系円盤などの渦巻き構造が形作られる。

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物質が凝集してできる天体の中には、中心部で核融合が始まり、星全体が高温になって輝くものも現れる。こうして生み出された光は周囲に拡がるが、途中で岩石惑星の表面に照射されると、低温環境に高温の光が流れ込むため、一定温度では起きない化学反応が進行し、複雑な化合物が作られる。

しかし、構造形成が活発に起きる時期は、長くは続かない。太陽と同じタイプの恒星は、せいぜい数百億年で燃え尽き、冷えて白色矮星となる。一部の大質量星は、遥かに短い主系列星の時期を終えると、超新星爆発の後に中性子星やブラックホールなどの高密度天体となる。小さな赤色矮星には1兆年を超える長寿命のものもあるが、弱い赤外線しか放射できない。

恒星が輝きを失い暗黒の天体集団となった銀河は、宇宙暦100兆年頃には観測可能な宇宙空間で孤立し、1垓年以前に崩壊する。

銀河内部の天体は、弾き出されて宇宙空間を漂流するものと、中心部の超巨大ブラックホールに飲み込まれるものとに運命が分かれる。漂流天体は、陽子・中性子の崩壊によって消滅していき、ブラックホールは、ホーキング放射で蒸発する。

こうして虚無のマザーユニバースからビッグバンの混沌として誕生したわれわれの宇宙は、宇宙暦10の100乗年頃に、ビッグウィンパーと呼ばれる永遠の静寂を迎える。

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宇宙に「終わり」はあるのか
最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで

今から138億年前、宇宙はビッグバンで生まれた。実は「138億年」の時の流れは、宇宙にとってはほんの一瞬だ。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」に及ぶ、想像を絶する未来を有する。そんな遠大な未来に、宇宙は「終わり」を迎えるのか? 答えは本書にある。