「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」展示風景、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(Photo:村田克己)

人の10倍20倍努力して“世界で大活躍した”日本人デザイナーの再評価が高まっている…!

なぜいま「石岡瑛子」なのか

今、2012年に73歳で亡くなったデザイナー・アートディレクターの石岡瑛子を再評価するムーブメントが、静かに起こっている。

東京都現代美術館では、最初で最後かもしれない大規模回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が2021年2月14日まで開催中で、11月には540ページもの大長編評伝『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』(河尻亨一、朝日新聞出版)が刊行。ギンザ・グラフィック・ギャラリーでも、2021年3月19日まで石岡瑛子展が開催。

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展示風景、東京都現代美術館、2020年(Photo: Kenji Morita)

東京都現代美術館の展示初日に来たBunkamuraル・シネマのスタッフが感動し、石岡瑛子が衣装デザインでアカデミー賞を受賞した、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』を12月10日まで緊急公開。

12月8日深夜、日本テレビが公開当時カルト的な人気を博したという石岡瑛子衣装デザインの『落下の王国』を放送。アマゾンプライムでは、同じく衣装デザインを担当した遺作『白雪姫と鏡の女王』を配信中。

次々と、関わった映画が公開される。展覧会の入りも上々。注目を集めるのはなぜだろうか? そもそも戦前生まれの日本人女性が、日本と世界の第一線で活躍できたのは、なぜだったのだろうか?

映画の映像も見せる臨場感あふれる展示を行った、東京都現代美術館学芸員の藪前知子さんと、石岡の人生の熱量を伝える評伝を書いた河尻亨一さんに話を聞いた。

「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」展示風景、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(Photo:村田克己)
 

石岡瑛子とは何者だったのか

1974年と同じ年に生まれた2人はそれぞれ1993年、『ドラキュラ』の衣装で日本人女性がアカデミー賞を取った、というニュースが列島を駆け巡った折に、石岡の存在を知った。再評価の必要性を感じていたところへ、石岡瑛子の妹でグラフィックデザイナーの石岡怜子さんと出会い、評伝の仕事に着手した河尻さん。

この頃、あちこちで展覧会の企画を売り込んでいた怜子さんは、藪前さんと出会う。ちょうど2015年に「山口小夜子 未来を着る人」展も開いたところだった藪前さんは、山口と同時代に日本で活躍してかかわりもあった石岡瑛子を取り上げたいと考えていた。山口は、1970~1980年代にファッションモデルとしてパリコレにも出た、伝説の女性である。