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38歳女性が「トリカブトの毒」で殺された…巧妙すぎる「保険金殺人」の裏側

法医学者の「執念」が事件を解決した
上野樹里さんが主演を務める月9ドラマ『監察医 朝顔』が大ヒット放送中だ。原作漫画の監修を担当した法医学者の佐藤喜宣杏林大学名誉教授は、これまで1万体を検死、5000体を解剖してきた死因究明のスペシャリストでもある。そんな佐藤氏の初の著書『生きるための法医学』から、法医学解剖が解決の糸口になった実際の殺人事件を、一部編集のうえで紹介する。
 

巧妙に仕組まれた保険金殺人

お茶を点てる道具さえあれば、どこででもお茶を楽しむことができる「野点」。野外の茶会とも言いますが、法医学の世界でも屋外で解剖を行う、いわば「野点の解剖」をせざるをえない時があります。

それは解剖室が無い離島等です。

琉球大学に赴任していた3年間では、野外に即席の解剖場所を設置した野点の解剖を数多く執刀しました。離島では病院はあってもひとつだけで、解剖室がないことは珍しくはないのです。 

今日は宮古島、明日は石垣島、さらに南大東島で事件が起きたとなれば、検視官とともにそのままチャーター便のセスナで向かったこともあり、悪天候となれば、島に足止めされることもありました。 

飛行機に乗る時は布製の道具入れに解剖器具をひとくくりにまとめて、ホルマリンを入れた瓶と、500mlの血液が入る瓶を持参しました。

通常の解剖で採取する血液は200ml程度ですが、野点の解剖では再解剖ができないので、普段採取する血液より多くの血液を採取し、サンプル試料として保存していたのです。

血液は遠心分離機にかけ、血清に分けて冷凍保存しておけば、後から薬物検査等もできるためです。