新型コロナウイルスの予防接種を、ファイザー(バイオンテックと共同開発)やモデルナが開発し、イギリスやアメリカではすでに承認され、医療従事者をはじめとした接種がはじまっている。日本でもファイザーが18日、厚生労働省への承認申請を行った。

ファイザーはワクチンを「9割以上の効果」と発表しており、医師のあいだでもワクチンに対する期待は高い。しかし一方で、新しく開発され、スピード承認されたワクチンに対して専門家のあいだで慎重な見方もある。

このような状況において、医療の専門家ではない一般の人は、新しいワクチンをどう捉えるのが適切なのか。『自身を守り家族を守る医療リテラシー読本』の著者で医師である松村むつみさんに解説してもらった。

※以下、同書の内容の一部を著者が再構成し加筆したものを掲載。

「100%効く」わけではない

新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発が期待されています。しかし、ワクチンも治療薬も、100%の効果があるわけではありません。事実を知り、正しくおそれ、正しく期待することが大事です。

予防接種は、麻疹や水痘などの感染症予防に重要な効果を果たし、「100%に近い効果」を示すものもありますが、すべての予防接種がそうというわけではありません。予防接種により根絶できた感染症は、地球上で天然痘だけです。他の感染症は、限りなく予防されたかに見えても、局地的な流行を繰り返しています。

「100%効果があるわけではない」予防接種の身近な例としては、皆さんにとっても身近な、インフルエンザの予防接種があげられます。インフルエンザウイルスは変異が多
く、予防接種はインフルエンザ感染を減らす効果はありますが、完全に予防することはできません。新型コロナウイルスも変異の頻度が高いと考えられており、予防接種での完全な効果は難しい可能性があります。

ただ、接種していない人の割合が高いと集団免疫が形成されないため、予防効果が低くなります。だからこそ多くの人が接種したほうがいいのです(※1, 2)。完全な予防効果はありませんが、入院や死亡を防ぐ効果、つまり「重症化を防ぐ」効果があることが特に高齢者に対してあることが示唆されています(※3)