感情的な指導は合う、合わないがある

――締め切りを破るとか遅刻するとかは、問題点が分かりやすいので具体的に伝えやすいと思います。でも、たとえば打合せ中にいきなり爆弾発言をする部下などには、どう伝えれば良いものですか?

こういうのは問題点を捉えにくいので、指導するのも難しい。私も銀行員時代は大変やりがちだったのですが、こういうときも可能な限り問題点を点で捉えて「この部分を直そう」と伝えることが大事です。まあこれは、発達障害者に限らず全ての部下を育てるときに言えることだと思うのですが。

――「早くやれー!」と大声で喝を入れたりして、気合いを入れる上司もいますが、これはどうなんでしょう?

私は勝手に猪木式と呼んでいるんですけど、「甘ったれるな!やれ!」と怒鳴って感情にショックを与え、「はいっ!」とやらせる。こういうエモーショナルな指導の仕方って、健常者の方にはけっこう響くことも多いのですが、残念ながら発達障害傾向が強い人には本当に効果がありません

たとえばコンペなどで勝利して「やったぜー!」と部署全体が盛り上がっているときに「何だ??」という顔をしている人がいたら、その人は高確率で発達障害傾向が強い人。共感力が強くないんですね。そういう人に猪木式は全く意味がない、と覚えておいてほしいと思います。

ただ、私も「エィエィオー!」というやり方は大嫌いだったのですが、自分で社長をやった結果、エモーションは時として必要なんだな、と分かりました。気が付いたら、朝礼というシステムを取り入れていましたから。

Photo by iStock
-AD-

実際、「今日も頑張りましょう!」と言わせると動く人たちって、一定数いるんですよ。あと従業員がミスをしたときも、私は叱るのが嫌で、理詰めで聞いていたんですね。「座って。君の仕事は今こうなっているんだけど、なぜこうなったのか分かる範囲で説明して。そして今後どうするつもりか教えて。20分しか時間がないから20分で話して。全然怒ってないから」と。そうしたら部下がどんどん壊れていった。そこで「さっさとやれ!」とキレてみたら、逆に部下が元気になったんですよ。

だから全ての人には当てはまりませんが、発達障害傾向の強い人には感情を交えず「ここを直してほしい」とロジカルに言うのが良いかな、と思います。さらにいえば「アナタの人格を責めているわけではない」と強調しておくと、より壊れにくいでしょう。