草津を「セカンドレイプの町」と断定…冷静さを失うリベラルへの疑問

これは「人民裁判」同然ではないか?
御田寺 圭 プロフィール

「#草津温泉には行かない」

ツイッターでは、リコールに対する抗議を込めたハッシュタグ「#草津温泉には行かない」「#草津温泉ボイコット」「#セカンドレイプの町草津」などが、フェミニスト系アカウントを中心に展開されている。驚くべきことに、どうやらこうしたムーブメントに賛同する人びとの間では、町長はレイプ犯でありなおかつ草津町は町ぐるみで犯罪行為をもみ消したセカンドレイピストの町ということが、なんの疑いもなく自明ということになっているようだ。

ハッシュタグを使ってSNSで抗議を展開し、連帯を強めるのは大いに結構だろう。しかし万が一、このようなハッシュタグによって本当に草津の観光客が減ってしまったとしたら、その煽りを真っ先に受けるのは、もっぱら観光業(宿泊業・飲食業)に従事する女性たちであることにも、多少は思いを巡らせられるとよいだろう。

いうまでもないことだが「性被害の申し立ての真偽」と「解職請求の妥当性」は別個に検討されるべき問題である。前者は司法で取り扱うべき問題であり、後者は地方自治における制度および権利上の問題である。住民がリコールの権利を行使することにはなんの違法性もない。むしろリコール自体を問題視することは地方自治ならびに市民社会の民主的権利を否定することにもなりうる。SNSでリコールを「性差別である」などと糾弾している人びとや、なにより全国フェミニスト議員連盟は、いやしくも政治に携わる者であるのなら、いまいちど地方自治法で定められた手続きを顧みるとよいだろう。

草津町長の黒岩信忠氏は14日、新井祥子元町議は18日に、それぞれ外国人特派員協会で会見を行った。性的暴行の有無について、町長は「100%ウソのでっちあげ」、新井元町議は「性被害にあったことは事実」と述べ、両者の主張は真っ向から対立している。町長は新井氏を名誉毀損で刑事告訴し、損害賠償を求める民事訴訟も起こした。真相は今後、裁判で争われることになる。

しかしながら、ネットで町長を「性犯罪者」と断じて憚らない人びとは、こうした経緯や原則などまったく意に介さず、「町長が、議会が、そして町全体が、ひとりの被害者女性の勇気ある訴えをもみ消し、さらに二次的に加害した許しがたい人権侵害事件」というストーリーを、現在のところなんの根拠も示されていないにもかかわらず作り上げている。

海外リベラル系メディアも「日本の時代遅れの男性権力者が女性に性的暴行を加え、その権力によって女性を黙らせた」というストーリーのもとに、この出来事を報じた。しかしこれを「社会正義」などと称賛している人びとは、いちど冷静になった方がよいだろう。

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