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自分の預金が引き出せない…銀行を訴えた男性の身に起こった「まさかの事態」

医師と家裁の「無責任対応」が引き金に

なぜ、おろせなくなったのか

認知症と疑われ、自分の銀行口座のお金がおろせなくなった。そんな話をよく耳にする。自分のお金をおろせないのは不合理だ、と怒る人も大勢いるという。

そんな一人、原口英雄さん(91歳・仮名=兵庫県在住)が「自分の口座からお金がおろせないのはおかしい」として三井住友銀行(高島誠頭取)を訴えた。

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訴状によると、原口さんは昨年9月、兵庫県内の三井住友銀行の出張所で、生活資金として83万円の払い戻し請求をしたが、出張所側は「理由を示さず」、請求に応じなかった。このため原口さんは支払いを求めて伊丹簡易裁判所に提訴した。

訴状には「原告は高齢だが、判断能力に問題はないことを申し添える」と書かれている。なお提訴は今年10月末。代理人弁護士を立てない本人訴訟である。

訴訟に先立ち、原口さんは今年1月、金融庁の金融サービス利用者相談所に、苦情申し立ての文書を送り、三井住友銀行に対する指導と処分を求めている。原口さんは文書でこう訴えた。

「私が妻と銀行へ行っても、この夏から、払い戻しに●●所長が応じません。私のお金なのになぜ使えないのか怒りに満ちています。半年以上自分のお金を使えず、非常に困っています」(●●は文書では実名)

関係者の証言や裁判資料などをもとに、提訴までの経緯を振り返ろう。

原口さんは1929年生まれ。橋下徹元大阪府知事の母校である大阪の名門校、北野高校を卒業。エンジニアとして自ら会社を立ち上げ、各種の特許を取得。結婚したが子供はなかった。2016年に妻に先立たれ、1人暮らしが続いたが、2019年7月、先妻の介護ボランティアとして以前から親しくしていた安子さん(仮名)と再婚した。