15歳で生け贄に…南米アンデスの山頂で見た「凍結ミイラ」の衝撃

写真家・石川直樹『地上に星座をつくる』より
石川 直樹

160キロ以上歩いて神にささげられた子どもたち

ドンセリャもそのような儀式の一環として、ユヤイヤコ山頂に埋められることになった。彼女は1999年に、アメリカの考古学者ヨハン・ラインハルトにより発見され、彼女が埋められていた石囲いは、世界最高地点にある考古学遺跡となったのだ。

ぼくはアルゼンチンのサルタにある考古学博物館でガラス越しに彼女の姿をのぞき見たのだが、時間がねじ曲がってしまったかのようなその光景は、今も目に焼き付いて離れない。

サルタの考古学博物館で見られるドンセリャのミイラ(写真:石川直樹)
 

ドンセリャと一緒に発見された織物や像、土器の産地は、山頂から1600キロも離れたクスコと判明している。もし仮に子どもたちの故郷がクスコではなく、ユヤイヤコ山周辺の地元であったとしても、最寄りの村から山までは160キロ以上は歩かなければならなかったことになる。

ドンセリャは15歳で、他に見つかった2体の男女のミイラは、それぞれ7歳と6歳だった。これほどまでの高さに彼らは歩いてやってきたのである。そのことを想像するだけでも、人身御供の儀式がただならぬ重大さを伴っていたことがわかる。

ここで言うミイラとは凍結した人体のことを指す。アンデスの山頂で見つかったいくつかのミイラは、エジプトなどで発見されたものに比べると保存状態が極めて良く、ゆえにそこから引き出される情報量は限りない。

まだまだ研究が進んでいない部分が多いのだが、科学技術が進歩し続ける限り、今を生きる我々に様々な情報を提供し続けてくれることだろう。

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