原作・綿矢りさ、監督/脚本・大九明子のタッグといえば、2017年に全国でロングラン上映された『勝手にふるえてろ』を思い浮かべる人も多いだろう。その時のスタッフが再結集し、31歳のおひとりさまを主人公にした映画『私をくいとめて』が18日から公開される。主人公のみつ子を演じるのはのんさん、相手役の多田に林遣都さん。みつ子の脳内にはAという相談役がいて、自分の好きなものを好きなだけ愛で、心地よい空間の中で生きる“おひとりさま万歳”な人生に、自分とは別の人間とぶつかり合うための正しいアドバイスをくれる。登場人物全てが人間らしく正直でリアルで愛おしい。あらゆる場面での“人との距離”について考えさせられる令和の時代に爆誕した“崖っぷちロマンス”。この作品で初タッグを組んだ大九監督とのんさんが、人間同士の距離感について語り合う。

撮影/山本倫子

みつ子はのんさん!と閃いたんです

大九 「私をくいとめて」のシナリオを書き終えて、主人公のみつ子をどういう方に演じていただくのがいいかなと思っていて、「のんさん!」と閃いた時、すごくピタピタピタ〜っときたんですよ。

のん は〜、ありがとうございます。嬉しいです。

大九 みつ子は、原作者の綿矢りささんが「あの結構地味な、いやかなり地味な」と表現するほどの、どこにでもいそうな30代の女性です。のんさんの出演された作品はいくつも拝見していましたけど、でも、この作品に馴染んでくれそうな予感がしました。どこにいても不思議のない、それでいて年齢不詳な感じがピッタリだな、と。ただ、そのあと初めて実際にお会いした時は、なんて光り輝いているんだろう、と思いましたけど(笑)。

のん いやいやいやいや……そんなそんな。

大九 でも、この作品でなら他の作品で出会ったことのないのんさんに出会える気がして。すごくワクワクしました。

のん 私は、最初に脚本を読ませていただいたときに、会話がすごく面白くて。「このセリフもこのセリフも言ってみたい!」ってすごく思ったんです。台本を読みながら、「みつ子がやりたい!」って気持ちがムクムクと湧き上がってきました。
ただ、セリフや考え方には共感できるところも随所にあるんですけど、私は根本的にはみつ子とは正反対のタイプじゃないかな、と思います。映画には、小説にはないキャラクターで、カッコいい上司役で片桐はいりさんが出演されてますけど、はいりさんにも「大丈夫? のんちゃん、できる?」って心配されました(笑)。

(c)2020『私をくいとめて』製作委員会

大九 昨日、ラジオ番組ではいりさんにお会いしたんです。はいりさんから、「“のんちゃん、ベストアクトだった”って伝えてください」って言われましたよ。

のん わー、嬉しい。