2020年11月に刊行した著書で「二度目の引退宣言」のような文章を寄せていたマイケル・J・フォックス。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティとして大ブレイクした彼を秘蔵写真と共に振り返る。

『罪の声』の1980年代

小栗旬さんや星野源さんの名演も話題の映画『罪の声』は、1984年のお菓子メーカー社長誘拐事件を筆頭に起きる劣悪な連続脅迫事件に巻き込まれた「子どもたち」の姿にフォーカスした作品だ。
その「子どもたち」の一人に、15歳の望ちゃんという女の子がいる。彼女は映画の字幕翻訳家になるのが夢で、突然放り込まれた辛い境遇の中でも、捨てられた映画雑誌を拾ってむさぼり読み、その境遇から抜け出て夢を諦めない決意をする。

筆者も当時望ちゃんと同世代。だから望ちゃんが読んでいた「スクリーン」や「ロードショー」で誰が「人気ランキングベスト10」だったのかもだいたい覚えている。特に筆者が毎月必ず購入していた「ロードショー」では、男性はジャッキー・チェンが最強で、毎月1位を独占していた。女性はダイアン・レインやソフィー・マルソー、フィービ・ケイツが1位を争い、そこにニューフェイスとしてジェニファー・コネリーが入ってきたような時代だった。

しかし、そのジャッキー神話が揺らいだのが、1985年だった。
そう、1985年12月7日、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が日本で公開となり、マイケル・J・フォックス旋風が巻き起こったのだ。

1985年12月7日に日本公開となった『バック・トゥ・ザ・フューチャー』Photo by Getty Images

日本ではほぼ無名だったけど

日本では映画の公開まで、主人公のマーティ演じるマイケル・J・フォックスのことを全く知らない人が多かったのではないだろうか。アメリカでは1982年から放映のドラマ「ファミリータイズ」のアレックス・キートン役で人気が出てきており、それが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』につながったそうだけれど、日本では放送されていなかったからだ。

『ファミリータイズ』シーズン1 Photo by Getty Images

映画の中では、本当は母親である過去のロレインがマーティに一目ぼれするのと同じように、夢中になった人はたくさんいた。そして筆者もその一人だった。なけなしのお小遣いはすべてマイケル・J・フォックスが載る雑誌の購入に充て、英語が一番苦手なのにめちゃめちゃな英語でファンレターを書こうと試み、アメリカでは1985年夏に公開されていたマイケル・J・フォックスの主演映画『ティーン・ウルフ』を友人と二人で公開初日の1986年3月8日初日の初回に並んで観た。ちなみに、『ティーン・ウルフ』は高校生のバスケ部員、マイケルが実は狼男の血統で、怒ると狼男になるという青春コメディで、なかなかのB級映画だった。