『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公式サイトより

英語版『鬼滅の刃』でわかった、「鬼殺隊士の遺書」に秘められた真の意味

「生き抜いてほしい」の奥深さ
(編注)本記事は『鬼滅の刃』および『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の内容を一部含んでおります。

「涙なし」には読めない遺書

We want them to survive.
「生き抜いて欲しい」

先日、『鬼滅の刃』の23巻が発売されて、ついに物語が完結しました。人を喰う鬼を倒すために、死を覚悟して戦いに挑む鬼殺隊のメンバーを中心に描かれるこの物語。

全編を通して何度か、彼らが他の鬼殺隊士に向けて書き残した遺書が登場します。不思議なことに内容が似通っていて、どれにも冒頭のようなメッセージが含まれています。上記の“We want them to survive”は19巻(英語版最新刊)に登場する鬼殺隊士・匡近の遺言の中のものですが、日本語版では最終23巻(英語版未発売)にも同じフレーズを含む遺書が出てきます。

英語版での主語は“We”で、目的語は“them”です。『鬼滅の刃』を全編読んだ方には、この英訳の素晴らしさが伝わるのではないでしょうか。

 

このメッセージの主体には、自分だけでなくこれまでに死んでいった仲間たちの遺志も含まれていて、なおかつ生きている全鬼殺隊士に向けているという点で、“I”や“him/her”よりも“we”や“them”を使うほうがふさわしく、「想いをつなぐ」という作品のテーマが込められたメッセージだと分かるはずです。

他にも、英語版『鬼滅の刃』には、様々な英訳が登場します。第1話で、主人公・竈門炭治郎が、鬼に襲われた母親と兄弟を見つけるシーンの直前に入るナレーション

When happiness ends there’s always the smell of blood in the air.
「幸せが壊れる時にはいつも 血の匂いがする」(『鬼滅の刃』1巻)

のように、日本語に忠実に訳したものがある一方、その後、鬼殺隊の最高実力者の一人で水柱・冨岡義勇が、鬼になった妹の禰豆子を見逃してほしいと土下座して頼む炭治郎に向けて言い放った名ゼリフ

Never leave yourself so defenseless in front of an enemy!(敵の前で弱みを見せるな!)
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」(1巻)

は、日本語の雰囲気を残しつつ意訳してあります。またその後の義勇のセリフ

 If you want something… you must fight for it!(何かを手に入れたければ…闘え!)
「笑止千万!!」(1巻)

のように大胆な意訳もあります。

関連記事

おすすめの記事