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DXで仕事を奪われながらも、IT人材は不足する…この解決法は?

コロナ後の未来年表(5)
少子化に伴って、終身雇用や年功序列を維持することが難しくなっている。若手社員の減少による組織のマンネリを打破していくためにも、デジタル技術を活用した生産性の向上とビジネスモデルの転換=「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が不可欠だと、ベストセラー『未来の年表』シリーズの著者でジャーナリストの河合雅司氏は指摘する。「DX時代」の働き方とは?

なぜ大企業はリストラを急ぐのか

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、早期・希望退職者募集が大企業にも広がってきた。

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東京商工リサーチ(12月7日時点)によれば、募集に踏み切った上場企業は90社に上り、リーマンショック直後の2009年の年間191社に次ぐ水準である。募集人数は判明分だけで1万7697人で、2009年の1万7705人とほぼ同水準だ。

業績悪化による「赤字リストラ」も増えているが、上場企業の多くは即座に早期・希望退職者を募集せざるを得ないほど経営的に追い詰められているわけではないだろう。

内部留保をためこんでいる企業は多い。株式市場の好調さを受けて保有資産の大幅な含み益が出ている企業もある。コロナ禍の「赤字」に便乗する形で、社員の新陳代謝を図ろうとしているところも少なくないはずだ。

なぜ、大企業はリストラを急ぐのだろうか。少子高齢化で国内マーケットの縮小と働き手不足が避けられなくなったことと無関係ではない。

 

人口減少時代の切り札「DX」

最近、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉を耳にする機会が増えた。データやデジタル技術を活用して組織やビジネスモデルを根底から変革し、新たな価値を創出する製品やサービスを生み出すことだ。

それによって競争上の優位性を確立する考え方であり、人間が担ってきた仕事を機械に置き換え、業務の効率性を図る「IT化」とは根本的に異なる。

国内でも具体的な動きが増えてきている。例えば、下着メーカーのグンゼはNECと提携して、着るだけで消費カロリーや心拍数といった生体情報を計測できる肌着を開発。利用者の体調管理などの新規ビジネスへの発展を図っている。

丸井グループはリアル店舗を持たない小売りブランドなどとの協業によって、「モノを売らない店」への転換を進めている。「顧客に体験してもらう場」とすることで不動産価値を高めることはもとより、顧客が店内でどう動いたかをデータ化してニーズの開拓につなげようというのである。

これら以外にも、カメラ業界、自動車業界、銀行などで劇的な変化が始まっている。

デジタルがビジネスを変える(photo by iStock)

少子化に伴って、終身雇用や年功序列といった日本型労働慣行を維持することが難しくなってきている。若手社員の減少による組織のマンネリを打破し、人口減少時代を乗り越えていくためには、生産性の向上と高付加価値の製品・サービスへのビジネスモデルへの転換が不可欠だ。DXこそが、その「切り札」なのである。

DXは業界地図を塗り替えると言ってもよい。異分野の企業が連携し、全く想定をしていなかったビジネスへの転換を迫られることも少なくないだろう。これまで畑違いだと思い込んでいた業種の企業が、突如ライバルとなって登場してくることにもなる。やがてすべての企業が否応なく巻き込まれていくこととなるだろう。