「安心安全」を求める主婦が「洗脳に弱くなってしまう」ワケ…実体験から考えた

「エホバの証人」元信者の考察
佐藤 典雅 プロフィール

彼女たちの「野菜信仰」

私が10歳の時に、母親はエホバの証人と呼ばれる『ものみの塔』という教団に入信した。そこから25年後に、私は自分の洗脳に気づき脱退して、親族一同も続いて脱退させた。佐藤一族にとっての大きな事件はここで一見落着だったのだが、私にとっては最後まで不思議が残った。

<そもそもなぜうちの母親が宗教に入ったのだろうか? うちの母親が特殊なケースだったのだろうか? もし特殊であったのであればそれは彼女の育ちのどの部分にあったのだろうか?>

ところが福祉業界に入り、たくさんのお母さんたちと面談していくうちに、自分の母親が特殊なケースではないことがわかってきた。むしろ、私の母親はいわゆる「意識高い系」の典型的な主婦の代表格ともいえる。

そんな専業主婦のお母さんたちから話を聞き、自分の母親も含めて彼女らがハマりやすい洗脳の最初の入口にまず「オーガニック野菜」と「玄米」があった。

母がエホバの証人の熱心な信者であった当時、彼女の「野菜を全部食べなさい」はまるで信仰と言えるほど強かった。

いまだに覚えているのだが、私は小学生の時に茄子の煮物の味が死ぬほどきらいであった。しかし嫌がる私に母は、容赦なく厳しく「食べなさい」と言い、私は激しく泣きながら強制的に最後まで食べさせられた記憶がある。他にも人参やピーマンを「絶対に残さず食べろ」と厳しくいわれてきた。

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しかし自分が大人になって社会に出た時に一つ気づく。子供の時に私のように厳しく野菜を食べろと言われ、例えばニンジンを食べてきた人と食べてこなかった人の間に、健康的・能力的な優勢があるのだろうか。周囲を見渡すと実質的な差はほぼないように思える。

そもそもニンジンでベータカロチンをたくさん摂取してきたはずの私の視力は0.1以下だ。こう言うと一部の方は「もっとちゃんと野菜食べなかったからよ」と言うかもしれない。しかしこれは、宗教の熱心な信者が「まだ信仰が足りないのよ」という常套句弁とあまり変わらないように思う。

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